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定年後の再雇用に関する裁判例

定年後の再雇用に関する裁判例
※高年齢者雇用安定法の内容は,それぞれ,判決当時のものであることにご留意ください。

定年後の再雇用に関する最新の裁判例について、争点(何が問題となったのか)及び裁判所の判断のポイントをご紹介いたします(随時更新予定)。

なお、定年後の再雇用に関する裁判例のバックナンバーは,をご参照ください(番号をクリック)。

欠勤の多かった定年後再雇用社員への雇止めが有効と判断された事例(東京地裁令和5年6月28日判決)

本件は、定年退職後、会社と期間1年の再雇用契約を締結した労働者が、1年経過後に雇止めとなったことで、その雇止めの有効性が争点となった事案です。

裁判所は以下のとおり述べ、雇止めの有効性を認めました。

「(1)前記認定事実によれば、原告は、定年後再雇用契約後、休職命令が出るまでの間、所定労働日154日のうち、腰痛などを理由に81日を欠勤し、14日を早退又は遅刻していたこと(略)、被告が2度に渡り、診断書の提出を求めたものの、本件雇止めの通知までに、診断書の提出をしなかったこと(略)、定年前に複数回にわたり、産業医に関する主張(謝罪や過去の対応のやり直しなどを求めることなど)の蒸し返しをしないよう注意、指導を受け、最終的には、他の事由と合わせて停職3日間の懲戒処分を受けていたこと(略)、原告は、産業医に謝罪や過去の対応のやり直しなどを求める主張の蒸し返しを行い、D課長から注意を受けたにもかかわらず、さらに同様の主張を直接産業医宛てのメールで送るなどの行為を行ったこと(略)が認められる。

(2)以上によれば、原告は、所定労働日の半数以上で労務提供できない状況であった上、本件再雇用契約が終了するまでの間に腰痛に関する診断書を提出しておらず、労務を提供できる状況に回復していたとはいえないことに加え、定年前から繰り返し注意指導を受けていた産業医に関する主張の蒸し返しを、定年後再雇用になって以降、D課長からの注意があったにもかかわらず行っていたことを合わせ考慮すると、本件雇止めが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないとはいえない。」

定年後の再雇用において、基本給、精勤手当、賞与に関する差異が労働契約法20条に違反するとされた事例(名古屋地裁令和2年10月28日判決)

本件は、自動車学校の教習指導員として就労していた原告らが、定年後に期間1年の有期雇用契約を締結(数回にわたり更新)して嘱託社員として就労した際、定年の前と後で業務内容に変更はなかったにもかかわらず、基本給等において正社員と差が設けられたことについて、当該差異の合理性が問題となった事案です。

裁判所は以下のとおり述べ、基本給、皆精勤手当等、賞与について、差異が不合理であると判断しました。

1 基本給について

「原告らは、被告を正社員として定年退職した後に嘱託社員として有期労働契約により再雇用された者であるが、正社員定年退職時と嘱託職員時でその職務内容及び変更範囲には相違がなく、原告らの正社員定年退職時の賃金は、賃金センサス上の平均賃金を下回る水準であった中で、原告らの嘱託職員時の基本給は、それが労働契約に基づく労働の対償の中核であるにもかかわらず、正社員定年退職時の基本給を大きく下回るものとされており、そのため、原告らに比べて職務上の経験に劣り、基本給に年功的性格があることから将来の増額に備えて金額が抑制される傾向にある若年正職員の基本給をも下回るばかりか、賃金の総額が正社員定年退職時の労働条件を適用した場合の60%をやや上回るかそれ以下にとどまる帰結をもたらしているものであって、このような帰結は、労使自治が反映された結果でもない以上、嘱託職員の基本給が年功的性格を含まないこと、原告らが退職金を受領しており、要件を満たせば高年齢雇用継続基本給付金及び老齢厚生年金(比例報酬分)の支給を受けることができたことといった事情を踏まえたとしても、労働者の生活保障の観点からも看過し難い水準に達しているというべきである。

 そうすると、原告らの正社員定年退職時と嘱託社員時の各基本給に係る金額という労働条件の相違は、労働者の生活保障という観点も踏まえ、嘱託職員時の基本給が正社員定年退職時の基本給の60%を下回る限度で、労働契約法20条にいう不合理なものと認められるものに当たると解するのが相当である。」

2 皆精勤手当等について

「原告らは(中略)これら賃金項目の支給の趣旨は、所定労働時間を欠略なく出勤すること及び多くの指導業務に就くことを奨励することであって、その必要性は、正社員と嘱託社員で相違はないから、両者で待遇を異にするのは不合理である旨主張する。

 上記原告らの主張は正当として是認できるから、皆精勤手当及び敢闘賞(精励手当)について、正職員定年退職時に比べ嘱託職員時に減額して支給するという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。」

3 賞与について

「正職員定年退職時と嘱託職員時でその職務内容及び変更範囲には相違がなかった一方、原告らの嘱託職員一時金は、正社員定年退職時の賞与を大幅に下回る結果、原告らに比べて職務上の経験に劣り、基本給に年功的性格があることから将来の増額に備えて金額が抑制される傾向にある若年正職員の賞与をも下回るばかりか、賃金の総額が正社員定年退職時の労働条件を適用した場合の60%をやや上回るかそれ以下にとどまる帰結をもたらしているものであって、このような帰結は、労使自治が反映された結果でもない以上、賞与が多様な趣旨を含みうるものであること、嘱託職員の賞与が年功的性格を含まないこと、原告らが退職金を受領しており、要件を満たせば高年齢雇用継続基本給付金及び老齢厚生年金(比例報酬分)の支給を受けることができたことといった事情を踏まえたとしても、労働者の生活保障の観点からも看過し難い水準に達しているというべきである。

 そうすると、原告らの正社員定年退職時の賞与と嘱託職員時の嘱託職員一時金に係る金額という労働条件の相違は、労働者の生活保障という観点も踏まえ、原告らの基本給を正社員定年退職時の60%の金額(前記(4)において不合理であると判断した部分を補充したもの)であるとして、各季の正社員の賞与の調整率(略)を乗じた結果を下回る限度で、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。」

定年後の再雇用に際し,雇用契約の成立が否定された事例(東京地裁令和元年5月21日判決)

本件は,音響機器の製造販売業を営む被告を定年退職した原告が,定年後も従前と同様の雇用契約が存在する等の主張に基づき,主位的には雇用関係の確認,予備的に損害賠償請求を行った事案です。

裁判所は,要旨以下のとおり述べ,原告の請求を退けました。

「被告は,満60歳の誕生日以後初めて迎える3月15日又は9月15日を定年としつつ,定年後の継続雇用希望者をその定年後にアルパインビジネスサービスが引き続き雇用する定年再雇用制度を導入して,本人の意向を踏まえつつ,再雇用希望者の知識,技能,ノウハウ又は組織のニーズに応じて職務及び労働条件を設定して事前に再雇用希望者に通知し,再雇用後の業務内容,処遇条件等について了承した者を定年後再雇用するものとして,高年法に基づく高年齢者雇用確保措置である同法9条1項2号所定の継続雇用制度を設けていることが認められる。

 そして,前提事実(3)及び前記1(2)に認定のとおり,被告は,上記定年後再雇用制度の枠組みの中で,サウンド設計部に関連する業務を定年後も引き続き行いたいとの原告の希望を聴取しつつも,遅くとも定年のおよそ2年前に当たる平成27年の面談時には,再雇用の場合,原告の上記希望に必ずしも沿えるものではなく,サウンド設計部以外での別種の業務もやむなしとの考えを伝え,定年のおよそ1年前に当たる平成28年9月頃,組織ニーズとして若手の人材確保を進めることなどを理由に,サウンド設計部を勤務部署とする定年再雇用の職務提示はできない旨あらかじめ説明した上で,定年のおよそ2か月前である平成29年7月10日,勤務部署を人事総務部とし,職務内容を労政チーム内業務及び人事総務部内業務とする労働条件による定年再雇用を提示して,上記定年再雇用制度に基づく定年再雇用の申込みをしたが,原告は,サウンド設計部で就労することに固執して,これを承諾せず拒否したものである。

 すなわち,原告は,被告が高年法の趣旨に沿って設けた定年再雇用制度に基づいて提示した再雇用後の業務内容,処遇条件等に納得せず,サウンド設計部で就労することができないのであれば,被告が原告に対してした定年再雇用の申込みを承諾しないこととし,自らの判断により,これを拒否して,被告との間で定年後の雇用契約を締結せず,そのまま,平成29年9月15日をもって定年を迎えて退職となったものであるから,同月16日以降,原告と被告との間に雇用契約の存在を認める余地はない。

イ この点,高年法は,継続雇用を希望する労働者を定年後も引き続き雇用する旨求めるにとどまり,同法中に,労働者が希望する労働条件での継続雇用をも使用者に義務付ける定めはない。すなわち,継続雇用後の労働条件は,飽くまで,労使間の合意により定まるべきものであって,労働者が使用者に対して希望すれば直ちにその希望するがままに勤務部署や職務内容が定年前と同じ雇用契約が定年後も継続するというかのような原告の主張には,法律上の根拠がない。」

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