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労働組合の裁判例

労働組合に関する最新の裁判例について、争点(何が問題となったのか)及び裁判所の判断のポイントをご紹介いたします(随時更新予定)。

組合員に対する懲戒処分,賞与不支給が,不当労働行為(労組法7条1号,3号)と認められた事例

本件は,老人ホームで就業する労働者に対する減給の懲戒処分(注意義務違反により入居者を危険な状態に置いたことを理由とするもの),及び,賞与の不支給(人事考課の結果が低評価であったことを理由とするもの)が,組合員であることを理由とした不当労働行為に当たるか否かが争われた事案です。

裁判所は,以下のとおり述べ,不当労働行為該当性を認めました。

2 争点1(本件懲戒処分の労組法第7条第1号の不当労働行為該当性)について
(1)本件懲戒処分がC1氏に対する不利益な取扱いに当たるか否か(本件懲戒処分の有効性)について

ア 前記第2の2の前提事実(3)アのとおり,原告は,C1氏が,平成27年1月19日,エアコンの使用が禁止されていたにもかかわらず,L1氏の忠告を無視し,27℃に設定した上でP1氏の個室のエアコンを付け,同個室のドアを閉め切ったため,同個室内を高温状態にし,P1氏を危険な状態に陥らせた点において,重大な注意義務違反があったなどとして,本件懲戒処分を行ったものである。
 しかし,下記イ及びウのとおり,当裁判所は,①本件体調悪化について,C1氏に懲戒事由に該当する注意義務違反は認められず,また,②C1氏の同日の行為とP1氏の発熱等の症状の発生との間に相当因果関係を認めることもできず,本件懲戒処分は,客観的に合理的な理由を欠くものである上,③本件体調悪化及び従前の他の介護事故における他の職員らに対する処分の有無や内容と比較して,処分の均衡を欠き,社会通念上相当であるということもできないから,本件懲戒処分は無効であり(労働契約法第15条),C1氏に対する不利益な取扱いに当たるものと判断する。
イ 本件懲戒処分が客観的に合理的な理由を欠くものであるかどうか
(ア)本件施設において,平成27年1月19日の時点で,エアコンの使用が禁止され,その旨がC1氏を含む職員らに周知されていたとの事実は,これを認めるに足りる的確かつ客観的な証拠はない(この点に関して,前記1(2)アのとおり,同月15日に開催された感染症対策委員会において,暖房が要注意であることなどは話し合われていたものの,このことから直ちにエアコンの使用自体が禁止されていたとまで認めることはできない。)。そして,前記1(2)イのとおり,C1氏は,P1氏が「寒い。」と言いながら頭から毛布を被っている様子を見て,エアコンを付けたものであって,第一次的には毛布を増やすなどの対応を行うことが望ましいとするR1医師の意見(甲12)を踏まえても,C1氏がエアコンを付けたことをもって懲戒事由に該当する注意義務違反があったとはいえない。
(中略)
(イ)また,C1氏が,同日,P1氏の個室のエアコンの設定温度を何度に設定したのか,また,エアコンを付けた後,同個室のドアを閉め切ったのか,閉め切ったとして,どれほどの時間閉め切った状態が続いていたのかといった点に関する事実を認めるに足りる客観的な証拠はない(同日の看護日誌(甲8)には,「暖房入っている、そのせいかoffとする?」との記載があるのみであり,N1看護師から事後に聴取した内容を述べるにとどまるJ1施設長の証言(甲35)から直ちにこの点を認めることはできない。)。
 そして,前記1(2)イに判示する同日の経過によれば,仮に,C1氏がP1氏の個室のエアコンを付けた後,同個室のドアを閉めたとしても,それはC1氏が単独でAユニットを担当していた同日午前11時50分頃から同日午後2時頃までの間に限られると考えられるところ,C1氏は,その間,昼食の下膳や巡回を行っていたのであるから,同個室のドアがその間常に閉め切られた状態にあったとは認め難いものである。
 他方で,前記1(2)イのとおり,P1氏は,同日午前9時の検温では体温が36.0℃であったものの,その後,「寒い。」と言いながら頭から毛布を被っており,同日午後2時頃の検温では体温38.5℃で,同日午後から同月20日夜にかけて,咳や痰,37℃台から38℃台の発熱がみられ,解熱剤の投与や氷枕により対処したところ,同日夜には,平熱に戻ったものであり,これらのP1氏の症状の経過によれば,R1医師の意見(甲12。なお,R1医師も,咽頭炎による発熱の可能性を指摘しているところ,暖房を使用した場合,空気が乾燥し湿度が下がり,口腔が乾燥することにより,細菌感染及び炎症を起こす可能性があるとしても,感染から発症までの時間的な経過を考えれば,P1氏の同日午後2時頃以降の発熱や咳痰の症状が,C1氏がエアコンを付けたことを原因とする感染によるものとは考え難い。)や原告が種々指摘する事項を考慮しても(上記のとおり,P1氏の発熱から解熱までには相応の時間の経過があるところ,このような体温の変化が,発汗機能不全によるうつ熱以外の要因によっては説明できないものであるとはいえない。),P1氏の発熱等の症状は,咽頭炎等の発汗機能不全によるうつ熱以外の要因によるものと考えるのが自然である。なお,上記のP1氏の症状の経過に照らすと,前記1(2)イのとおり,原告において,P1氏を本件施設に隣接する病院に搬送したり,医師の診察を直接受けさせたりしていないこと(甲12によれば,R1医師も,インフルエンザ薬を処方するなどにとどめており,直接にP1氏を診察する必要があるとは判断しなかったことがうかがわれる。)からも明らかなように,P1氏が危険な状態に陥っていたということもできない。
 これらの事情によれば,仮に,C1氏がエアコンを付けた後,同個室のドアを閉め切ったことがあったとしても,そのことから直ちにC1氏に懲戒事由に該当する注意義務違反があるということはできず,また,C1氏の同日の行動とP1氏の発熱等の症状の間に相当因果関係を認めることもできず,本件懲戒処分は,客観的に合理的な理由を欠くものといわざるを得ない。
ウ 本件懲戒処分が社会通念上相当であるかどうか
 上記イのとおり,本件懲戒処分は,客観的に合理的な理由を欠くものであるところ,上記イ(ア)のとおり,L1氏も,C1氏がP1氏の個室のエアコンを付けた際に同席し,エアコンを付けること自体については容認していたと認められるにもかかわらず,前記1(2)エのとおり,原告は,L1氏に対しては懲戒処分を行わなかったことはもとより,弁明書や始末書の提出を指示することすらなかったのであるから,本件懲戒処分は,本件体調悪化に関係する他の職員に対する処分の有無や内容と比較して,処分の均衡を欠くものといわざるを得ない。
 また,上記1(2)エのとおり,原告の施設においては,本件体調悪化の事象以前に少なくとも4件の介護事故というべきものが発生しており,うち3件は,入居者等が共同生活室や居室において転倒して右目付近を打撲したり胸部を剥離出血したりした事故であり,うち1件は,入居者が倉庫に入って塩素系漂白剤を誤飲した事故であった(少なくとも同事故については,相当に深刻なものであったということができる。)が,これらの介護事故について,原告は,担当者に始末書の提出を求め,口頭注意をしたことがあったのみであり,懲戒処分を行ったことはなかったものである。そうすると,上記イ(イ)のとおり,入居者が危険な状態に陥ったということができず,そもそも,C1氏の当日の行動と入居者の症状との間に相当因果関係を認めることもできない本件体調悪化について,本件懲戒処分を行ったことは,それぞれの事故態様等の違いを考慮しても,従前の他の介護事故における他の職員らに対する処分の有無や内容と比較して,処分の均衡を欠くものといわざるを得ない。
 これらの事情によれば,本件懲戒処分は,社会通念上相当であると認められない場合に当たるというべきである。
 

(2)本件懲戒処分は,C1氏が組合員であることの故をもってされたものか否かについて
 上記(1)のとおり,本件体調悪化について客観的にはC1氏に懲戒事由があるとはいえず,また,前記1(2)ウのとおり,C1氏は,原告の指示に従い,詳細な弁明をしていたにもかかわらず,原告は,C1氏が虚偽の報告に終始し,反省の態度が一切認められないとして,C1氏だけに対し,本件体調悪化及び従前の他の介護事故における他の職員らに対する処分の有無や内容と比較して処分の均衡を欠く本件懲戒処分を行ったものである。
 これらの事情に加え,前記1(1)のとおり,原告は,C1氏らが本件組合を結成して以降,C1氏ら本件組合の組合員に対し,不当労働行為に該当する不利益な処遇(前件解雇,前件配転,平成25年・平成26年賞与不支給及び平成26年賃下げ)を繰り返していたものであり,前記1(3)のとおりの本件懲戒処分の後の経過に照らしても,本件懲戒処分の時点で,原告と本件組合との対立関係が存在していたというべきであることを併せ考慮すると,本件懲戒処分は,C1氏が組合員であることの故をもってされたものと認めるのが相当である。
 

(3)以上によれば,本件懲戒処分は,労組法第7条第1号の不当労働行為に該当するものと認められる。これと同旨をいう本件命令において違法な点は認められず,この点に関する原告の主張は,採用することができない。
 

3 争点2(本件賞与不支給の労組法第7条第1号の不当労働行為該当性)について
(1)本件賞与不支給がC1氏に対する不利益な取扱いに当たるか否か(本件賞与不支給の合理性)について

ア 前記第2の2の前提事実(3)イのとおり,原告は,①平成27年6月賞与に係る評価期間(平成26年12月から平成27年5月まで)におけるC1氏の人事考課の総合評価が1点であったことや,②同期間におけるC1氏の行事等への不参加の回数が20回であったことを理由として,C1氏に対し,平成27年6月賞与を支給しなかったものである(本件賞与不支給)。
 しかし,下記イからカまでのとおり,当裁判所は,①上記評価期間におけるC1氏の人事考課は不合理であり,②同期間におけるC1氏の行事等への不参加を理由として賞与を減額することも不合理であるから,本件賞与不支給は,C1氏に対する不利益な取扱いに当たるものと判断する。
イ 前記1(3)アの認定事実によれば,原告が平成27年6月賞与に係る評価期間におけるC1氏の人事考課の総合評価を1点とした最も大きな理由は,本件体調悪化にあると認められるところ,そもそも,本件体調悪化について,C1氏に注意義務違反等を認めることができないことは,上記2(1)において判示したとおりであり,本件体調悪化を理由としてC1氏の人事考課の総合評価を1点とすることに合理性はない。
ウ また,原告は,C1氏について,上記の総合評価をした理由として,平成26年厳重注意に関する出来事(②),行事等への不参加(③),介護業務の水準の低さ(④),服装の乱れや遅刻等の存在(⑤)をも挙げる。
 証拠(甲20,21,26,乙B12,13,39,C1から3まで)によれば,C1氏は,平成26年12月4日午前8時37分頃,夜勤明けの巡回業務を行っていた途中に,椅子に座って休憩していたところを注意され,巡回業務に戻ったこと(上記②の関係。なお,当時,掃除をしていたのは1名の介護職員のみであり,他の介護職員が全員で掃除をしている状況にはなかった。)や,平成27年3月21日の出勤時に事前連絡なく15分程度遅刻したこと(上記⑤の関係)が認められるところである。しかし,平成26年12月4日の件については,C1氏が椅子に座って休憩していた時間が何分であるのかを認めるに足りる客観的な証拠はなく,仮に,原告が主張するとおり,七,八分間椅子に座って休憩していたとしても,夜勤明けのC1氏が巡回業務を行っていた途中の出来事であり,C1氏が頻繁に巡回業務を怠っていたといった事情も認められないこと,平成27年3月21日の件についても,遅刻の時間は15分程度にすぎないし,原告においてC1氏以外にも遅刻をした職員はいるが,その職員の人事考課の点数が下げられたことはなく(甲35〔119頁〕,乙A66〔130頁等〕,B43),上記1(3)アのとおり,原告が事後に作成した評価理由書においてすら,当該遅刻に関する記載がなかったことからすると,いずれも,C1氏の人事考課において評価表の全ての評価要素を最低の1点とするような事情には当たらないことが明らかである。
エ 介護業務の水準の低さ(上記④)や服装の乱れ(上記⑤)については,証拠(甲25)によれば,C1氏は,平成27年7月3日,Aユニットの共同生活室において,制服の上着(ポロシャツ)を脱いでランニングシャツ姿で勤務しているところを,K1主任から注意されたことが認められるところである。しかし,本件各証拠によっても,C1氏について,平成27年6月賞与に係る評価期間において,その介護技能が平均的な水準に著しく劣ることなどをうかがわせるに足りる具体的な出来事の存在を認めることはできず,評価表の全ての評価要素を最低の1点とするまでの介護技能の拙劣や勤務態度の不良があったと認めることはできない(原告の人事考課においては,特に優れていなくとも,普通に仕事ができていれば,総合評価は4点とされていたものと認められるが,それより劣るという3点,2点又は1点の判断基準については,J1施設長も,沖労委の手続において「お年寄りを大事しているかどうか」,「それに沿って行動が伴っているかいないか」であると述べる程度であり,客観性を確保して恣意性を排除し得る具体性のある基準が定められているといった事情は何ら見当たらない(甲35〔133,134頁〕)。)。
 むしろ,前記1(2)イのとおり,C1氏が,同年1月19日に,短時間とはいえ,手間のかかる入居者がいたAユニット(甲35〔52頁から55頁まで,69頁等〕)の担当を一人で任されていたことや,K1主任が,前件の不当労働行為救済申立事件(沖労委平成26年(不)第2号,平成27年(不)第2号)の審問時,本件施設において介護職として10年程度勤務している職員の中には,その介護技能がC1氏と同程度の者がいる旨を証言していたこと(甲34〔96,97,99,100頁〕。原告は,同証言について,K1主任が人事考課の対象とならない契約期間を3か月とする非常勤職員と比較して証言したものである旨を主張するが,そもそも,本件施設において10年程度勤務しながらなお非常勤職員である者が存在するかどうかも明らかでないし,K1主任も,複数の質問者から繰り返し質問されたにもかかわらず,非常勤職員との比較である旨を全く証言していないのであって,原告の上記主張を採用することはできない。)を考慮すると,C1氏の介護技能は,同程度の勤続年数の他の介護職員と比較して,著しく劣るものとはいえなかったことがうかがわれるものである。
オ さらに,行事等への不参加(上記③)についても,前記1(1)カのとおり,C1氏は,平成25年9月の復職に際し,原告から,本件承諾書を提出しない限り,行事等に参加しないように言われ,平成26年10月29日の団体交渉における原告の行事等への参加を禁止したことはない旨の発言を受け,その後,勤務時間内の行事等には参加できるようになったものの,勤務時間外の行事等に参加しようとしたところ,本件承諾書に署名しておらず,後から残業代を請求されると困る旨言われたため,結局,平成27年9月に本件承諾書を提出するまで,勤務時間外の行事等に参加することができなかったものである。
(中略)
 そうすると,C1氏が,平成27年6月賞与に係る評価期間中,勤務時間外の行事等に参加しなかったことをもって,その人事考課の総合評価を1点としたり,賞与を減額したりすることに合理性があるということもできない。なお,上記期間中の行事等への不参加が20回に及んだのは,同期間中のC1氏が関係する行事等がC1氏の勤務日以外の日に実施されたためである(甲35〔120,121頁〕)が,そもそも,勤務時間外の行事等への不参加が,評価表の全ての評価要素を最低の1点とするような事情であるということもできない。
カ これらの事情によれば,人事考課に際しては原告に一定の裁量があるというべきことを考慮しても,C1氏の総合評価を1点としたことは,同裁量を逸脱した不合理な取扱いであるというべきであり,同じく不合理な取扱いである勤務時間外の行事等への不参加による賞与減額と併せて,C1氏の平成27年6月賞与を不支給としたこと(本件賞与不支給)は,C1氏に対する不利益な取扱いに当たると認めるのが相当である。
(2)本件賞与不支給は,C1氏が組合員であることの故をもってされたものか否かについて
 本件賞与不支給は,前記1(3)アのとおり,同じ評価期間における他の介護職員ら(13名)の人事考課の総合評価がいずれも4点又は5点である中で,上記アのとおり,本件組合の組合員であるC1氏の人事考課のみを合理的な理由なく著しく低い評価としたことなどによるものであり,前記1(1)のとおりの本件賞与不支給に至るまでの経緯に照らして,不当労働行為に該当する平成25年・平成26年賞与不支給や平成26年賃下げと一連のものと評価するのが相当である(なお,これらの経緯によれば,本件人事考課制度自体が,その後のC1氏ら本件組合の組合員に対する賞与不支給や賃下げを想定して導入されたものと考えざるを得ない。)。
 そうすると,本件賞与不支給は,C1氏が組合員であることの故をもってされたものと認めるのが相当である。
(3)以上によれば,本件賞与不支給は,労組法第7条第1号の不当労働行為に該当するものと認められる。これと同旨をいう本件命令において違法な点は認められず,この点に関する原告の主張は,採用することができない。
 

4 争点3(本件懲戒処分及び本件賞与不支給の労組法第7条第3号の不当労働行為該当性)について
 前記2及び3のとおり,本件懲戒処分及び本件賞与不支給は,C1氏が組合員であることの故をもって,C1氏に不利益な取扱いをしたものであり,労組法第7条第1号の不当労働行為に該当するところ,その内容は,減給及び賞与の不支給という,労働者にとってその生活に直結する最も重要な給与面において不利益を生じさせるものである。そして,前記1(1)のとおり,原告は,本件組合が結成されて以降,C1氏ら本件組合の組合員に対し,前件解雇,平成25年・平成26年賞与不支給,平成26年賃下げ等の,同様に労働者の給与面において不利益を生じさせる内容の不当労働行為を繰り返しており,本件懲戒処分及び本件賞与不支給が行われた時点では,本件組合の組合員がC1氏のみとなっていたことにも照らすと,本件懲戒処分及び本件賞与不支給は,組合活動を萎縮させるのみならず,組合の存続自体に支障を生じさせるという意味でも組合の弱体化に繋がる行為であるといえ,原告はこのことを認識しつつこれらの行為を行ったと認められるから,本件懲戒処分及び本件賞与不支給は,労組法第7条第3号の不当労働行為にも該当するというべきである。この点においても,本件命令に違法というべき点は認められない。

業務命令違反が争議行為としての正当性を否定され,これを理由とする懲戒処分が有効とされた事例(学校法人甲大学事件,大阪地裁令和2年1月29日判決)

本件の主たる争点は,業務命令の相当性,正当な業務命令に争議行為として対抗した労働者に対する懲戒処分が有効か等多岐にわたりますが,ここでは,争議行為の正当性に関する判示を取り上げます。

「争議行為の正当性に関する判断枠組み

争議権の保障は,労務府提供などの業務の正常な運営を阻害する行為であっても,かかる行為の刑事責任及び民事責任を特別に免責し,あるいはかかる行為を理由とする不利益取扱いを特別に禁止することによって,団体交渉における労働者の立場を強化し,あるいは団体交渉における交渉の行き詰まりを打開するなど,団体交渉を機能させる趣旨のものと解される。そして,団体交渉は,労使が対等な立場で,合意により,労働条件の決定を始めとする労使間のルールを形成する機能を有していることに鑑みると,争議行為は,団体交渉を通じた労使間の合意形成を促進する目的あるいは態様で行わなければならないものと解される。

 そして,争議行為の態様が,団体交渉において業務命令によって命じられた業務が不存在であることの確認を協議事項としつつ,争議行為として当該義務の履行そのものを拒否するものである場合,当該争議行為は,当該義務の不存在確認に関する団体交渉を促進する手段としての性質を有することは否定できないものの,他方で,当該義務の不存在確認という目的自体は,争議行為によって,団体交渉を経ずして達成されることになるから,当該争議行為は,労使間の合意形成を促進するという目的を離れ,労働組合による使用者の人事権行使となる側面がある。そのため,上記態様の争議行為は,常に正当なものということはできず,団体交渉の実施状況や争議行為の実施状況に照らし,当該争議行為が,業務命令の拒否自体を目的としているとみることができるなど,団体交渉を通じた労使間の合意形成を促進する目的が失われたものと評価できる場合には,当該時点から正当性を有しないものというべきである。」

裁判所は上記のとおり判示し,本件の事実関係においては,一定時点以後の争議行為の正当性は認められないと判断し,業務命令違反を理由とする懲戒処分を有効と結論付けました。

賃金放棄に係る労働協約の組合員への適用が否定された事例(平尾事件,最高裁第一小法廷平成31年4月25日判決)

本件は,コンクリートを運送する自動車の運転手として勤務していた労働者が,会社に対し,減額された賃金等の支払を請求した事案です。

賃金減額の背景として,労働者が所属する労働組合(建交労組)及びその神戸中央合同分会(総称して「建交労組等」)が,会社との間で,要旨,以下の労働協約を書面により締結していたことがありました。

・建交労組等は,会社が提案した賃金カットに応じる。

・カットの期間は,1年間(その後更に1年間延長)とする。その後の取り扱いは労使協議の上,合意で決する。

・カット分の賃金は労働債権といて確認し,カットした金額は賃金明細に記載する。

・経営改善に関する協議は,労使協議会を設定して,会社,建交労組等及び会社にコンクリート運送業務を委託している株式会社甲の3者により,3か月ごとを原則として必要に応じて実施する

そして,当該労働協約に基づき実際に賃金カットが実施され,その後,会社と建交労組は,

・カットされた賃金債権については,これを放棄する

旨の合意(本件合意)をしました。

こうした事実関係を前提に,原審は,要旨「労働協約による賃金カットは賃金の支払時期の猶予であるが,その後の合意により,支払が猶予された賃金債権が放棄された」として,労働者側の請求を認めていませんでした。

しかし,最高裁は「本件合意は被上告人と建交労組との間でされたものであるから,本件合意により上告人(※労働者)の賃金債権が放棄されたというためには,本件合意の効果が上告人に帰属することを基礎付ける事情を要するところ,本件においては,この点について何ら主張立証はなく,建交労組が上告人を代理して具体的に発生した賃金債権を放棄する旨の本件合意をしたなど,本件合意の効果が上告人に帰属することを基礎付ける事情はうかがわれない。そうすると,本件合意によって上告人の本件各未払賃金に係る債権が放棄されたものということはできない。」として,原審の判断を覆しました。

コンビニエンスストアのフランチャイジー(加盟店)オーナーについて,労組法上の労働者に当たらないと判断された事例(セブン―イレブン・ジャパン(中労委)事件,中央労働委員会平成31年3月15日命令)
※裁判所の判決ではなく,労働委員会の命令です。

本件は,コンビニエンスストア(加盟店)のオーナーについて,労働組合法上の「労働者」に当たるか否かが争点となった事案です。労働委員会は,要旨,以下のとおり述べ,労働組合法上の「労働者」性を否定しました。

「以上のとおり,加盟店と会社の本件フランチャイズ契約の内容は,会社によって一方的かつ定型的に決定されており,同契約により,加盟者の小売事業の経営は一定の制約を受けている面が存在する。このような加盟と会社の関係をみると,加盟者と会社の間には交渉力の格差があることは否定できないというべきである。

 しかしながら,加盟者は,実際上は店長として稼働する場合が多いとしても,独立した小売事業者であって,上記のような制約は事業者間の問題とみるべきであり,会社による研修や評価制度の存在等の事情を考慮しても,加盟者が会社の事業組織に組み入れられているとはいえない。また,加盟者が会社から時間的・場所的拘束を受けて労務を供給し,あるいは,広い意味でも会社の指揮監督の下に労務を供給しているとはいえないことなどからしても,加盟者は会社の事業の遂行に不可欠な労働力として会社の事業組織に組み入れられ,労働契約に類する契約によって労務を供給しているとはいえない。さらに,加盟者が会社から労務供給の対価として報酬を受け取っているということはできず,他方で,加盟者の事業者性は顕著であると認めることができる。

 顕著な事業者性を持つ者であっても,事業の相手方の規模等によっては,契約内容が一方的に決定されるなどして交渉力の格差が発生することはあり得るが,そのような交渉力格差は,使用者と労働者との間の交渉力格差というよりはむしろ,経済法等のもとでの問題解決が想定される,事業者間における交渉力格差とみるべきものである。

 以上のような本件に現れた諸事情を総合考慮すると,本件における加盟者は,労働契約に類する契約によって労務を供給して収入を得る者で,労働契約下にある者と同様に使用者との交渉上の対等性を確保するために労組法の保護を及ぼすことが必要かつ適当と認められる者として,会社との関係において労組法上の労働者に当たると評価することはできない。」

※なお書きとして「本件における加盟者は,労組法による保護を受けられる労働者には当たらないが,上記のとおり会社との交渉力格差が存在することは否定できないことに鑑みると,同格差に基づいて生じる問題については,労組法上の団体交渉という法的な位置付けを持たないものであっても,適切な問題解決の仕組みの構築やそれに向けた当事者の取り組み,とりわけ,会社側における配慮が望まれることを付言する。」との言及がなされています。

非本質的な事項についての団体交渉打ち切りが正当と認められた事例(日本郵便事件,東京地裁平成30年12月20日判決)

本件は,ある労働者の雇止めの撤回に関する団体交渉において,「当該労働者に対する上司の発言がパワハラに当たる」旨の指摘とともに,組合からの団交要望事項としては,雇止めの撤回に加え,上述のパワハラへの謝罪も挙げられていました。そして,本件では,パワハラ謝罪要求に係る団体交渉に会社が応じなかったことの当否(不当労働行為該当性)が争点となりましたが,裁判所は以下のとおり述べ,会社の対応は不当労働行為には当たらない旨判示しました。

「本件組合は,本件各団交申入れにおいて,表面上は,本件副部長発言がパワーハラスメントに当たるとして当該パワーハラスメントに対する謝罪の要求を交渉事項に挙げてはいたものの,飽くまでも本件雇止めの撤回を本質的な要求とした上で,本件第一,二回団交におけるのと同様に,本件雇止めに至る経緯の中で本件労働者に対して退職強要があったことを非難する趣旨で本件副部長発言を問題としていたものと解することが相当であって(現に,本件組合は,本件各団交申入書のうち最後の二つの申入書である平成26年3月20日付け及び同年4月11日付け各団体交渉再開要求書においては,本件副部長発言が退職強要に当たる旨を主張している(書証略)。),当該謝罪の要求自体が本件団交申入れにおける本件組合の本質的な要求であったと解することはできない」

「本件各団交申入れにおいて本質的な要求として挙げられていた本件雇止めの撤回の要求に係る団体交渉に原告が応じなかったことについて正当な理由がないとはいえないことに加え,(略)本件第一,二回団交における原告側の出席者による本件副部長発言の内容や趣旨等に関する説明についても,本件組合側の出席者は,これを無視し,E副部長が虚偽を述べて原告に対して退職を要求したなどと断定して,そのことを追及する姿勢に終始していたと評することができるし,上記のとおり,本件各団交申入書においても,本件副部長発言についての本件第一,二回団交における原告側の説明等を踏まえた質問や要求などが記載されていなかったこと,さらに,本件副部長発言が本件労働者との一対一の電話におけるやり取りの中でされたものであり,録音等の客観的な証拠に基づいて議論ができるようなものではなかったことをも考慮すれば,原告が本件各団交申入れに対し,E副部長が本件労働者に対してパワーハラスメントを行った事実はない旨を回答したのみで,本質的な要求とは解されない本件労働者へのパワーハラスメントに対する謝罪の要求に係る団体交渉にそれ以上応じなかったことも,やむを得ないものということができるから,そのことに正当な理由がないということができないというべきである。」

朗読組合が行った名誉棄損的表現について,正当な組合活動として違法性が阻却された事例(Y事件,東京地裁平成30年3月29日判決)

本件は,労働組合が,原告(会社)の執行役員がセクハラ行為をした,との事実を組合ホームページに掲載したこと等の行為について,これが名誉棄損に当たるとして,会社及び執行役員が組合及び執行委員長に対し損害賠償を請求したという事案です。

裁判所は,組合側の以下の行為につき,名誉棄損に当たることを認めました。

・組合ホームページに「T営業部長のセクハラ発覚」「会社隠ぺい」との見出しを掲載したこと

・上記見出しの横に「X(会社)のT営業本部長が今年3月のハワイセミナーのある日の晩,酔っ払ってツアーに参加していた某代理店の体を数回さわり,セクハラ行為を行ったのです」戸の記載をしたこと

・組合執行委員長が「Xの執行役員でもあり,営業本部長でもあるT氏は本年の3月のハワイツアー中に目撃者が何人もいる中で某代理店にセクハラ行為,まあ,酔っ払った加害者が3回に渡って,被害者の腕や肩から胸にかけての部分を触った」

しかし,これらの行為(総称して「本件見出し等の掲載等」)の違法性については,「本件見出し等の掲載等が原告らの名誉を棄損する違法な行為であるとしても,本件見出し等によって適示された事実が真実であるか否か,真実と信じることについて相当な理由が存在するか否か,本件見出し等の掲載等の目的及び態様等の一切の事情を総合考慮し,正当な組合活動として社会通念上許容される範囲内のものである場合には,本件見出し等の掲載等の違法性は阻却されると解するのが相当である」との判断枠組みを示しました。

そして,結論としては,「原告Tによるセクハラについて真実性が認められること,隠ぺいという表現について真実相当性が認められること,本件見出し等の摘示(ママ)等は,労働組合の組合活動の一環として被害者救済及びセクハラの再発防止等を目的としてされたものであり,その表現態様等も相当なものであること,被告ユニオンは,当初,本件セクハラ事件の解決を原告X内の自主的解決に委ね,非公表のまま交渉を進めていたこと(略)などの事情を総合考慮すれば,本件見出し等の摘示(ママ)等は,正当な組合活動として社会通念上許容される範囲内のものであり,その違法性が阻却されるから,不法行為は成立しない」として,会社及び役員側の請求を認めませんでした。

派遣先の会社が,労働組合法上の「使用者」にあたると認定された事例(X社事件,神奈川県労働委員会平成30年2月27日命令)

本件の争点は多岐にわたりますが,ここでは,派遣労働者との関係で,派遣先の会社が労働組合法上の「使用者」に当たるか否か,という点を取り上げます。

この点,労働委員会は「不当労働行為制度は,使用者の契約上の責任を追及するものではなく,団結権の侵害に当たる一定の行為を不当労働行為として排除,是正して正常な労使関係に回復することを目的としているから,労組法第7条第2号の使用者は,労働契約上の使用者に限らず,それ以外の事業主であっても,当該交渉事項に関する限り雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配,決定できる地位にある者も含む」という理解を前提に,本件について「D及びE(※派遣労働者)は,X1(※派遣先)から面談を受けるよう求められたため,X1社内において,X1の社員による面談を受けた後に,甲1(※派遣元)からX1での就労が決定した旨の連絡を受けて,甲1と雇用契約を締結している。すなわち,X1は事前に面談を行って,D及びEの自動車デザインにおけるスキルを確認した上で採用を決定したものであり,甲1においても,両名がX1の求めるスキルを持っておらず,X1が両名の受け入れを決定しなかったならば,両名を採用しなかったものといえるから,その限りで甲1による両名の採用の決定について,X1は深く関わっていたものといえる。

また,(中略)X1は,平成21年2月9日のI社長説明の後,一部の業務に就いて派遣労働者の受入れの終了を決定したため,当該業務について労働者派遣契約を締結していた甲1と協議し,契約を終了することとした。これに伴い甲1も,当該業務に従事していたD及びEと締結していた雇用契約を終了することとし,これを両名に伝えた上で,同年3月31日,両名を雇止めとした。さらに(中略)甲1は,Eに対して交付した3月6日付け理由証明書に,「2.更新しない理由 派遣先による派遣労働者受入削減のため」と記載したり,組合との団体交渉の中で,X1がD及びEの業務にかかる派遣契約の解除を決定したため,甲1はそれに従っただけであり,最終的な判断はX1に委ねた旨を説明している。加えて,D及びEは,自動車デザインに関する特殊なスキルを備えていることをX1が面談で確認したうえで,もっぱらX1に派遣するために甲1によって採用されたものであるから,X1との労働者派遣契約が終了した場合には,甲1が両名を期間満了とともに雇止めとすることは不可避的な帰結である。したがって,派遣先であるX1が,両名にかかる労働者派遣契約を更新しないと決定したからこそ,甲1がD及びEの雇用契約を終了させたものといえる。

 以上のことを踏まえると,X1は,甲1によるD及びEの採用及び雇用の終了に関する決定について,事実上,雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配,決定していたものということができる」として,派遣先であるX1の,労働契約法上の使用者性を肯定しました。

大学学長が,組合活動としてのビラ配布を非難したことが,組合に対する支配介入の不当労働行為に当たると判断された事例(福岡教育大学事件・東京地裁平成29年12月13日判決)

本件は,大学の教職員組合が学長選考を再考するよう働きかける旨のビラを配布したことについて,学長がこれを公然と非難し,関係者への人事上の制裁を示唆したことが,不当労働行為(支配介入)に当たるのではないかが争われた事案です。

この点,裁判所は,支配介入の判断枠組みについて「ある行為が支配介入に当たるか否かについては,当該行為の内容や態様,その意図や動機のみならず,行為者の地位や身分,当該行為がされた時期や状況,当該行為が組合の運営や活動に及ぼし得る影響を総合考慮し,組合の結成を阻止ないし妨害したり,組合を懐柔し,弱体化したり,組合の運営・活動を妨害したり,組合の自主的決定に干渉したりする効果を持つものといえるかにより判断すべきである」としました。

そのうえで,支配介入に当たるかを検討する前提として,まず,本件のビラ配布行為が正当な組合活動として保護されるかについて検討しました。

この点,ビラの内容は「学長選挙につき「再考を促す」こと自体は,何ら強制力を伴うものではなく,学長選考会議の権限を侵害するものともいえないし,違法不当な行為をあおりまたそそのかす等の内容を含むものと評価することもできない。そして,そのような組合活動に関する情報を提供した上で,受領者に対して理解と支援を求めることも,労働組合の通常の情報宣伝活動の範囲内のものであるといえる。また,本件ビラの記載の表現態様についてみても,侮辱的であったり,差別的であったりするような社会的相当性を欠く表現も見当たらず,穏当なものであるといえる。なお,本件ビラには,学長選考会議委員の氏名等が記載されているが,これらの情報は,そもそも,原告自身のウェブサイトに掲載されて公表されているものであるから(中略),プライバシー保護上の問題等も生じない。」として,内容に問題はないとしました。

また,ビラの配布態様についても「JR教育大駅前という一般に開かれた公道上で行われている(中略)ところ,原告の施設管理権を何ら制限するものではない。また,本件ビラ配布は午前8時頃という時間帯に行われており(中略),本件大学の業務に支障を来したり,通行人の通行を妨げたり,当該配布場所の平穏を害するなどの事態が生じたことをうかがわせる事情も特段見当たらない。」として,態様も社会的相当性の範囲内であるとしました。

以上をふまえ,本件ビラ配布は,正当な組合活動に当たると判断しました。

これに対し,E学長の対応について「本件ビラ配布について,「本学の信用を失墜させる行為」,「本学全教職員の努力を台無しにし」た,「学生諸君に多大な迷惑を掛け」たなどと,いずれも強い消極的効果を含む言辞を用いて非難した上で,「今回起きた事案に対する大学の秩序の回復と名誉の回復に取り組」むなどと述べて(中略)本件ビラ配布が本件大学の秩序を乱したと断定した上(中略),人事権に基づいて,本件ビラ配布の関係者に対し,労働関係上の制裁ないし不利益措置を取ることを示唆していたといえるものである。このことに加えて,本件ビラが訴える学長選考会議の再審議(中略)は,E学長の学長選考に異を唱えるものであるところ,E学長は,本件ビラ配布の開始後2週間余りで(中略),上記のような非難及び不利益措置の示唆を行っていることを併せ考えれば,その学長としての地位を否定するような本件組合による本件ビラ配布を嫌悪して,かかる組合活動を排斥する意図ないし動機のもと,本件学長発言及び本件掲載を行ったことが推認される」として,E学長の組合嫌悪の意図を推認しました。

また,こうしたE学長の発言等が組合活動に萎縮的効果を及ぼし得るものであることも指摘の上,結論として,E学長の言動は支配介入の不当労働行為に当たるとしました。

※その他,学長による任命拒否等についても,不当労働行為に当たると判断されました。

労働組合の街宣活動等の差止めが相当とされた事例(ミトミ建材センターほか事件・大阪高裁平成26年12月24日判決)

本件は、A社、B社及びその代表取締役が、A社の従業員が加入している労働組合に対して、労働組合の街宣活動やビラ配布等によって会社の営業権及び代表者の人格権を侵害されたとして、街宣活動等の差止及び損害賠償請求をしたという事案です。

本件では、労働組合の街宣活動等が「正当な」組合活動にあたりその違法性が阻却されるか(高井注:労働組合の活動については、それが正当な活動と言える限り、その活動によって他者の権利を侵害することがあっても違法とは扱われないことになっています。)という点が争点になりました。

この点、裁判所は、組合活動の正当性について「それが使用者等の権利や法律上保護される利益を侵害するものであっても、その目的、必要性、態様、使用者に与える影響その他の事情を総合考慮し、社会通念上相当と認められる正当な範囲内のものである限り、違法性を欠くというべきである。そして、この場合、その行為が使用者等の社会的評価を低下させる内容の表現行為であるときには、当該表現行為において摘示され、又はその前提とされた事実が真実であるか、真実と信じたことにつき相当の理由(以下「真実相当性」という。)があるか否かも、重要な要素となると解される」という判断基準を示しました。そして、本件の具体的事実関係を検討のうえ、一定の組合活動については正当性を否定し、差止及び損害賠償請求を認めました。

なお、本件では、B社が、組合員であるA社従業員との関係で労働組合法上の「使用者」には当たらないという点に関し、「労働組合の組合活動であっても、組合員の使用者ではなく、殊更にその関連会社や取引先等の第三者を標的としてその権利や法律上保護される利益を侵害するものは、原則として社会通念上相当と認められる正当な範囲内の組合活動とはいえず、違法性が阻却されることはないというべきである」という判断基準を示し、本件でもその正当性性を認めませんでした。

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