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労働時間に関する裁判例

労働時間に関する最新の裁判例について、争点(何が問題となったのか)及び裁判所の判断のポイントをご紹介いたします(随時更新予定)。

なお、労働時間に関する裁判例のバックナンバーは,をご参照ください(番号をクリック)。

就業場所での泊まり込み時間について、実労働時間と認められた事例(福岡地裁小倉支部令和3年8月24日判決)

本件は、被告の運営する施設に泊まり込みで就労していた労働者について、労働時間性が問題となった事案です。裁判所は、以下のとおり述べ、労働からの解放が保障されていなかった時間について、労働時間該当性を認めました。

判断枠組みについて

 ア 労働基準法32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいうが、所定労働時間外に労働者が使用者の業務の範囲に属する労務に従事した場合に、それに要した時間が前記意味の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであり(最高裁判所平成1239日第一小法廷判決民集543801頁参照)実作業に従事していない不活動時間が前記意味の労働時間に該当するか否かは、労働者が不活動時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきである。不活動時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労働基準法上の労働時間に当たるというべきである。そして、当該
時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当である。(最高裁判所平成14228日第一小法廷判決民集562361頁参照)そこで、各時間帯ごとに、労働時間該当性を検討する。

本件について

イ 平日の午前6時から午前830分まで平日の午前6時から午前830分までの間原告らは、利用者のトイレの介助などを行うことがあり(定事実(2))、これらの利用者対応は、被告の業務の範囲に属する労務にあたる。被告は、原告らの雇用契約にはQ2に関するものは含まれていないと主張するが、被告が、Q1Q2の両方の施設を運営していること、Q2の利用者は、日中はQ1で障害者向けの就労移行支援を受けていること原告らがQ1でも利用者らの支援を行っていることなどからすれば(書証略論の全趣旨)Q2における利用者対応も被告の業務に含まれるというべきである。Y午前6時には宿直担当者が帰ること利用者の中に精神的に不安定な者身体の不自由な者がいることは把握しているから(人証略)、原告らが利用者の対応を行っていることも知っていると考えられ、グループラインで利用者対応に関する指示がなされていたこと(認定事実(2))らも、被告は、利用者対応をすることについて、原告らに指揮命令をしていたと認められる。したがって、原告らが利用者の対応を行った時間は、労働時間にあたる。

  また、原告らには、利用者の対応をしていない不活動時間もあると考えられるところ、利用者から対応を求められるタイミングは、あらかじめ明らかになっているものではなく、不活動時間においても、必要があれば利用者対応をすることが予定されているといえるから、労働契約上の役務の提供が義務付けられているとして、被告の指揮命令下に置かれていたというべきであり、労働時間にあたる。
  ただし、原告らにも朝食を取るなど、労働からの解放が保障されている時間があったと考えられるから、午前6時から午前830分までの間の30分は労働時間にあたらないというべきである。
  なお、原告X1Q2で勤務していなかった期間においても、基本的な働き方は変わらないから、労働時間、休憩時間は同様に考えるのが相当である。
 ウ 平日の午後4時から午後9時まで
  平日の午後4時から午後9時までの間、原告らは支援記録を書いたり、夕食の配膳等を行ったりする他、利用者の人浴の見守り介助を行っていた
(認定事実(2))からこれらの時間は労働時間にあたる。

  また、それ以外の不活動時間においても介助等の利用者対応を求められるタイミングは、あらかじめ明らかになっているものではなく、不活動時間においても、必要があれば利用者対応をすることが予定されているといえるから、労働契約上の役務の提供が義務付けられているとして被告の指揮命令下に置かれていたというべきであり労働時間にあたる。
  ただし原告らも夕食を取ったり風呂に入ったりしていたと考えられること原告らは週に341度につき30分から1時間程度自分の用事で外出していたこと(認定事実(2))からすれば原告らにも労働からの解放が保障されている時間があったと考えられるから少なくとも午後4時から午後9までの間の1時間は労働時間にあたらないというべきである。
  なお原告X1Q2で勤務していなかった期間においても同様である。
エ 休日の午前6時から午後9時まで

 休日も、原告らは、利用者のトイレや入浴の介助や、支援記録の記載等を行う他、利用者の外出に同行するなどしていたから(認定事実(2))、これらの時間は労働時間にあたる。

  また、それ以外の不活動時間においても、必要があれば利用者対応をすることが予定されているといえるから、労働契約上の役務の提供が義務付けられているとして、被告の指揮命令下に置かれていたというべきであり、労働時間にあたる。ただし、原告らも食事を取ったり、自分の用事で外出したりしていたことを考えると、原告らには、少なくとも朝に30分、昼に1時間、夜に1時間、合計2時間30分は、労働からの解放が保障されている時間があったと考えられ、これらは労働時間にあたらないというべきである。

なお、原告X1Q2で勤務していなかった期間においても同様である。

  オ 平日、休日の午後9時から翌日の午前6時まで

  原告らは、利用者が相談をしてきた時や、トイレの介助を頼んできた時は、宿直担当者に起こされ、利用者対応をしていたから(認定事実(2))、これらの時間は労働時間にあたる。

  また、それ以外の不活動時間においても、必要があれば起きて利用者対応をすることが予定されているといえるから、労働契約上の役務の提供が義務付けられているとして、被告の指揮命令下に置かれていたというべきであり、労働時間にあたる。ただし、原告らは、原告X1Q2で勤務していなかった期間を除いては、原告のうち一方が午前6時に起床して内鍵を掛ける場合は、もう一方が夜間対応をするというように、ある程度夜間にどちらが対応するかを決めていたこと、被告もそのような分担を禁止しているとはうかがわれないことからすれば、原告らは、それぞれ、2日に1日は夜間の利用者対応が義務付けられておらず、労働からの解放が保障されているというべきである。したがって、原告らは、平成295月から同年8月を除いた前後の期間については、午後9時から翌日の午前6時までが労働時間にあたる日と、労働時間にあたらない日が、交互(1日ずつあったというべきである。一方、平成295月から同年8月までの期間は、原告らはそれぞれ、一人で夜間の勤務をしていたのであるから、午後9時から翌日の午前6時までの間は、労働時間と扱うべきである。

  ただし、Q2では、23ケ月に1回、利用者がいなくなり、原告らが2名とも利用者を探しに行っていたから(認定事実(2))、そのような場合は、実際に労務に従事したとして、労働時間として扱うべきである。支援記録によっても、利用者が逃走した具体的な日時は明らかではないが、利用者は、23ケ月に1回、逃げ出していたから、3ケ月に1度は、原告ら2名とも、午後9時から午前6時まで労働時間であると扱うのか相当である。」

出退勤時間を記録するICカードの打刻時間のみによる労働時間の認定が否定された事例(東京地裁令和2年11月27日判決)

本件は、自死に至った労働者の遺族が、自死は業務によって発症した精神疾患に起因するものであるとして労災認定を行ったものの、労基署は労災を認めなかったため、裁判所に対して労基署の処分の取り消しを求めた事案です。ここでは、労働時間に関する判示を取り上げます。

原告側は、原則として、会社において出退勤管理に利用されていたICカードの出勤時刻及び退勤時刻から労働時間を認定すべきであると主張していましたが、裁判所は以下のとおり述べ、これを否定しました(なお、結論としても、労基署の判断を維持しました)。

(5)時間外労働時間による心理的負荷について
ア 本件での時間外労働時間認定におけるICカード及び本件申告書の証拠価値について
 この点,原告は,亡Pの平成26年6月16日から同年9月10日まで(以下,本(5)項では平成26年については月日のみ表記する。)の始終業時刻は,別紙2の1「亡Pの出勤・退勤時刻の主張対照表」の「原告」欄の「主張・再反論の理由」欄記載のとおりの理由で,原則としてICカードを打刻した時刻と認定し,6月28日の終業時刻,9月6日の始業時刻については例外的に本件申告書の記載の時刻と認定すべきである旨主張する。しかし,次のとおり,ICカードの打刻時刻や本件申告書記載の時刻のみから,直ちに亡Pの労働時間を認定することはできない。
(ア)ICカードの証拠価値について
 まず,ICカードの証拠価値について検討するに,確かに,前記(1)オ(ア)のとおり,本件会社では,ICカードにより出勤時刻及び退勤時刻を記録し,これに基づいて残業代を支払っていたのであり,本件会社におけるICカードの打刻は,単に出退勤の有無を管理する趣旨のものにすぎないとはいえない。
 しかしながら他方で,前記(1)ウ(エ)及び(オ)のとおり,宴会のある日については,N以外は全員一斉に始業し,宴会部門の担当者は皆で後片付けをした後,全体の作業が終わったことをMが確認した上で,宴会終了時刻頃には,当日の宴会に係る業務につき一斉に終業していたことが多く,また,宴会のない日や宴会が昼頃に開催されていた日は,ソースの調理や肉の下ごしらえ,野菜を切るなど翌日以降の宴会の料理の準備をしていたが,厨房において所定終業時刻以降に宴会の準備作業をすることはなく,下処理にかかる調理業務も全体の作業が終わったことをMが確認した上で一斉に終業していたことが多かったのであり,ICカードに打刻された出退勤時刻と他の同僚の出退勤時刻や宴会終了時刻(宴会のない日は所定終業時刻)との間に大きな齟齬がある日の多くの日について,亡Pが他の同僚よりも早く出勤して何らかの業務をする必要性や宴会終了時刻(宴会のない日は所定終業時刻)又は他の同僚の退勤時刻後に恒常的に何らかの業務をする必要性があったとは考え難い。
 また,証拠(乙1・165頁,乙12)によれば,Mは,亡Pが遅くまで事務室に残っていた際,翌日やることの手順を整理しているとか,人を待っていましたなどと言われたことがあり,また,宴会業務の終了後,L及び亡Pの調理師専門学校の同級生でスパレストランの責任者であった者と話をしているのを見たことがあったと認められる。また,証拠(乙1・173頁)によれば,Nは,亡Pに帰る旨声を掛けた際,Jにいってきますと言われたことがあり,さらに,証拠(証人L14頁)によれば,亡PがLを待っていて一緒に帰宅したことが一度あることが認められる。これらの事実からすれば,宴会の有無にかかわらず,亡PのICカードの打刻時刻が他の同僚の退勤時刻,所定終業時刻ないし宴会の終了時刻と大きく齟齬している理由については,亡Pが業務終了後にLを待っていたり,翌日の段取りを考えていたり,本件ホテル及び本件スパのほかのレストランに行ったりしていたことにあったことが窺われる。そして,これら亡Pの行動については,MないしLによる明示ないし黙示の業務指示によるものであったと認めるに足りる証拠はない。
 以上に照らせば,ICカードに打刻された出退勤時刻をもって直ちに本件会社の指揮命令下に置かれた時間であると推認することはできないといわざるを得ない。

美容師の業務において、練習会等への参加が労働時間に当たらないと判断された事例(東京地裁令和2年9月17日判決)

本件は、被告会社が運営する美容室にて美容師として就労していた労働者が、時間外労働に関する割増賃金等を請求した事案です。ここでは、練習会や着付け講習会(技能向上のための練習)の労働時間性についての判断を取り上げます。

裁判所は、以下のとおり述べ、労働時間制を否定しました。

(イ)練習会の労働時間該当性
a 被告会社がアシスタントである従業員に対してスタイリストに昇格しないことによる不利益を課していたなどの事情は証拠上見当たらないのであって,仮にスタイリストに昇格するための経験を積む機会が練習会のほかにないとしても,このことから直ちにアシスタントである従業員が練習会への参加を余儀なくされていたということはできない。加えて,証拠(乙19,原告本人〔47,48頁〕)及び弁論の全趣旨によれば,練習会に参加する従業員は,練習のためのカットモデルとなる者を各自で調達し,カットモデルを調達できないこともあったこと,従業員は練習会でカラー剤等の費用相当額をカットモデルとなった者から徴収して被告会社に支払っていたが,カットモデルとなった者から個人的な報酬を受け取ることができたことが認められる。
 これらのことに照らすと,練習会は従業員の自主的な自己研さんの場という側面が強いものであったというべきである。
b このような練習会の性格に鑑みると,被告Y1が練習会における練習の開始や終了に関する指示等をしていたとしても,店舗の施設管理上の指示等であった可能性を否定することができないし,原告が被告Y1から施術について注意等を受けた際に練習不足であるとの指摘を受けたことを契機として練習会に参加したとしても,これをもって練習会への参加を余儀なくされたとはいえない。
c これに対し,原告は,練習会の途中で帰宅することは許されておらず,原則として従業員全員が練習会に参加しており,体調不良等を理由として練習会に参加しない場合には被告Y1の許可が必要であった,スタイリストに昇格した後に被告Y1から練習が足りないと言われて練習会への参加を命じられた,練習会でのアシスタントの指導をする必要があった旨供述等(甲12,原告本人〔4,8,31頁〕)するが,これを裏付ける的確な証拠はなく,被告Y1が原告の上記供述等の内容を否定する供述等(乙19,被告会社代表者兼被告Y1本人〔4~6頁〕)をしており,被告Y1の供述等の内容に特段不自然,不合理な点は見当たらないことに照らすと,原告の供述は直ちに採用することができない。
d 以上に述べたところによれば,原告が練習会に参加し,自らの練習や後輩の指導をしたことがあったとしても,被告会社の指揮命令下に置かれていたと評価することはできないのであって,原告が練習会に参加した時間が労基法上の労働時間に該当するとはいえない。
(ウ)着付けの講習会の労働時間該当性
 弁論の全趣旨によれば,本件サンプル期間のうち,平成28年10月19日,同年11月2日,同月9日,同月16日,同年12月7日は,原告は被告会社の外部で実施された着付けの講習会に参加したことが認められるが,被告会社が原告に対して同講習会に参加するよう命じたと認めるに足りる証拠はない(原告は,元々着付けに興味があり,お店のためになればよいと思って被告Y1から許可を得て同講習会に参加した旨供述するにとどまる(原告本人〔9,10頁〕)。)。
 したがって,着付けの講習会に参加した時間は,被告会社の指揮命令下に置かれていたと評価することはできず,労基法上の労働時間に該当するとはいえない。

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