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解雇(普通解雇、諭旨解雇、懲戒解雇等)の裁判例 バックナンバー①

解雇(普通解雇、諭旨解雇、懲戒解雇等)に関する裁判例① 

解雇(不当解雇)に関する最新の裁判例について、争点(何が問題となったのか)及び裁判所の判断のポイントをご紹介いたします(随時更新予定)。

住宅補助費の不正受給を理由とした懲戒解雇が有効と判断された事例(ドコモCS事件、東京地裁平成28年7月8日判決)

本件は、原告である会社が、住宅補助費の不正受給を理由に懲戒解雇とした元従業員を被告として、相当額の返金を求めたものです。一方の被告側は、この懲戒解雇が無効だとして、雇用関係が存続していることの確認等を求めました。主たる争点は、被告らが原告から住宅補助費を受給したことが不正受給に当たるか、これを理由とする懲戒解雇は有効か、という点でした。

実際の事案は複雑ですので詳細は割愛しますが、本件では、裁判所は、まず、原告における住宅補助費の規程について「その解釈・適用は、その文理を基礎とし、健全な社会通念、条理及び慣習による補充、論理解釈並びに目的論的解釈(言い換えれば主観的意図や内心的効果意思とは区別される客観的、合理的な意図の探求)も考慮されたものでなければならない。その文理に一応該当するときであっても、信義誠実の原則及び権利濫用の禁止(民法1条2項、3項、労働契約法3条4項、5項)による制限が及び、正当な権利行使の範囲を逸脱するときは不法行為法上の違法性が生じることもありうる」という考え方を前提に、結論として、被告らは、原告の住宅補助費の支給に関する支給要件を満たしていなかったと認定しました。

そして、被告らの認識としても「住宅補助費の支給要件を満たさない可能性が高く、かつ、原告も実態を知れば、住宅補助費の支給要件を満たすとはたやすく判断しないことを知りながら、住宅補助費の支給を受けるため、あえて実態をありのままに説明することなく、あたかも通常の賃借に過ぎないように装って、住宅補助費を申請し、原告の事情聴取でも、実態を秘匿するため虚偽も辞さない態度であったと推認することができる」として、不正受給に関する故意も認定し、「原告の支給決定の意思表示は、要素の錯誤による無効又は詐欺による取消しでその効力を有しない」として、原告から被告らに対する返金請求を認めました。

そのうえで、懲戒解雇の有効性については、「懲戒解雇は最も重い懲戒処分であり、雇用契約上の権利を有する地位の喪失のみならず、労働者の名誉に悪影響を与え、退職金の支給制限等の経済的不利益を伴うことが多いから、懲戒権の行使の中でも特に慎重さが求められる」年ながらも、本件の事実関係の下では「被告らは少なくとも未必の故意をもって、共謀の上、その居住実態を偽って住宅補助費を不正に受給している。その不正受給は、平成18年から平成25年まで7年以上、五百数十万円に及び(中略)返納の対象となり、かつ、まだ返納されていないものだけでも金175万8400円となる。また、被告らの(中略)住居補助費の申請は申請書、賃貸借契約書を精査しても予想困難な居住関係及び権利関係を秘したものであるから、原告が長年これに気付かず、住宅補助費を支給していたことを被告らの有利に斟酌すべきではない。被告が利得する一方、原告が受けた財産的被害は多額であり、両者間の信頼関係を著しく破壊するものである」としました。また、「労働者は自身の労働契約上の義務に違反する行為に関し、使用者が調査を行おうとするときは、その非違行為の軽重、内容、調査の必要性、その方法、態様等に照らして、その調査が社会通念上相当な範囲にとどまり、供述の強要その他の労働者の人格・自由に対する過度の支配・拘束にわたるものではない限り、労働契約上の義務として、その調査に応じ、協力する義務があると解される。その調査の過程において、芳しくない態度、ことに虚偽の供述など、積極的に調査を妨げる行為があった場合は、信頼関係をますます破壊し、反省、改善更生といった情状面の評価において、不利益に重視されることもやむを得ない」としたうえで、被告らが原告による事実関係調査において虚偽を述べた等の事実を指摘し、結論として、「懲戒解雇は懲戒権の行使の中でも特に慎重さが求められることを考慮しても、原告が被告らに対し本件解雇をもって臨んだことが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合に当たるということはできない」として、懲戒解雇を有効としました。

※一言コメント

本件の場合、会社の被害額が高額であること、労働者側が故意で不正受給を行ったうえ、会社側に虚偽を述べたこと、等を重視して、懲戒解雇が有効と判断されております。これらの点は事実認定の問題ですが、考え方として、会社側の調査に対する協力義務を肯定している点が参考になります。

業務遂行上の問題改善見込みが乏しいとして、試用期間中の解雇が有効とされた事例(まぐまぐ事件、東京地裁平成28年9月21日判決)

本件は、期間の定めのない正社員として採用された原告が、試用期間(入社後6か月)中である入社から約4か月の時点で解雇されたことにつき、その無効を主張した事案であり、試用期間中の解雇の有効性が争点となりました。

この点、裁判所は、本件解雇は、試用期間中における留保解約権の行使であるとしたうえ、「留保解約権の行使による解雇は、その趣旨に照らし、通常の解雇の場合と全く同一に論ずることはできず、より広い範囲における解雇の自由が認められるべきであるが、いったん雇用関係に入ったものである以上、解約権留保の趣旨・目的に照らして、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当として是認される場合にのみ許される」という、従前からの最高裁の考え方を確認しました。

そのうえで、本件については、原告労働者について「原告には上司の指導や指示に従わず、また上司の了解を得ることなく独断で行動に出るなど、協調性に欠ける点や、配慮を欠いた言動により取引先や同僚を困惑させることなどの問題が認められ」ること、「それを改めるべく被告代表者が始動するも、その直後に再度上司の指示に素直に従わないといった行動に出ていることに加え、上記の問題点に対する原告の認識が不十分で改善の見込みが乏しいと認められること」を指摘し、被告就業規則「技能、脂質、勤務態度(成績)若しくは健康状態が劣り継続して雇用することが困難である」に該当すると判断して原告を解雇した被告の判断を是認しました。

この点、原告側は、解雇に先立ち、被告代表者が原告に対し私道を行うべきであったのにこれを怠った(解雇回避努力義務違反)という主張もしていましたが、裁判所は「使用者が雇用契約に試用期間を設け解約権を留保する趣旨は、採用時には認識し得なかった労働者の資質、性格、能力その他の適格性を観察し、最終的な採否(本採用)を見極めるためのものであるから、試用期間中の留保解約権による解雇は、通常の解雇の場合よりも広い範囲における解雇の自由が認められ、被告の負う解雇回避努力義務の程度も、通常の解雇の場合ほどには要求されないというべきである」として、本件では「試用期間満了時まで原告に対する指導を継続しなかったことをもって相当性を欠くとまでは言えない」として原告の主張を退けています(その他、原告が被告入社までに約7年間の社会人経験を経ていることも考慮されています)。

※一言コメント

試用期間満了前に解雇がなされたこと自体は、会社側にとって不利な事情ともなり得たところですが、本件では、認定された労働者側の勤務態度に大きな問題があると評価されていることが、解雇有効という判断につながったものと思われます。

いわゆる「試し出勤」後の退職措置あるいは解雇が無効とされた事例(綜企画設計事件、東京地裁平成28年9月28日判決)

本件は、被告に雇用されていた原告がうつ病により休職し、その後、リハビリ勤務(試し出勤)を経たが、その後に被告が原告に対して休職期間満了・解雇の意思表示をしたことにつき、原告が当該措置は無効として争ったものです。

簡略化すると、主な争点は、①「試し出勤」の法的性質(この出勤により「復職」したといえるのか)②原告の休職原因が消滅したといえるのか、という点でした。

①(「試し出勤」の法的性質(この出勤により「復職」したといえるのか)につき、裁判所は、前提として、休職原因消滅の立証責任について、「被告の就業規則は、休職中の者が休職期間を満了してもなお復職不能のときは休職期間満了をもって退職するとしており、被告における休職制度は、休職期間中の使用者による解雇を制限し労働者の地位を保全するものであるということができる。そうであるとすれば、休職期間が満了する前に休職原因が消滅したことについては、労務の提供ができなかったにもかかわらず解雇権を留保されていた労働者が主張立証責任を負う」として、労働者側に立証責任があることを確認しました。

そのうえで、「復職」の判断基準について、「休職原因である「復職不能」の事由の消滅については、労働契約において定められた労務提供を本旨履行できる状態に復することと解すべきことに鑑みると、基本的には従前の職務を通常程度に行うことができる状態にある場合をいうものであるが、それに至らない場合であっても、当該労働者の能力、経験、地位、その精神的不調の回復の程度等に照らして、相当の期間内に作業遂行能力が通常の業務を遂行できる程度に回復すると見込める場合を含むものと解するのが相当である。そして、休職原因がうつ病等の精神的不調にある場合において、一定程度の改善を見た労働者について、いわゆるリハビリ的な勤務を実施したうえで休職原因が消滅したか否かを判断するに当たっては、当該労働者の勤怠や職務遂行状況が雇用契約上の債務の本旨に従い従前の職務を通常程度に行うことができるか否かのみならず、上記説示の諸点を勘案し、相当の期間内に作業遂行能力が通常の業務を遂行できる程度に回復すると見込める場合であるか否かについても検討することを要し、その際には、休職原因となった精神的不調の内容、現状における回復程度ないし回復可能性、職務に与える影響などについて、医学的な見地から検討することが重要になる」という判断基準を示しました。

そして、本件の「試し出勤」制度については、

・被告会社としては、復職を直ちに認めるものではなく、その可否を審査するため休職期間を延長する意思であったこと、被告会社の当該意思は原告も認識可能だったこと

・被告が、復職に際して原告から提出された診断書の内容に疑問を持ち、復職の可否を見極めるために試し出勤を行う必要があると判断したことには合理性があること

等を指摘し、本件の試し出勤は、「休職期間を延長し、原告が復職可能か否かを見極めるための期間という趣旨で行われたものであると認めるのが相当であり、試し出勤の開始をもって、原告が復職したものと認めることはできない」と結論付けました。

しかし、②(原告の休職原因が消滅したといえるのか)については、①で示した判断基準をもとに、試し出勤期間中における原告の具体的な勤務内容や原告主治医の作成した診断書の内容を踏まえ、「うつ病又は抑うつ状態は、完治していないとしても従前の職務を通常程度行うことができる状態に至っていたか、少なくとも相当の期間内に通常の業務を遂行できる程度に回復すると見込まれる状態にあったと判断される」として、原告の休職原因は消滅していると結論付け、被告による休職期間満了・解雇の意思表示をいずれも無効と判断しました。

なお、「被告は、C医師(※原告の主治医)に対する問い合わせが困難であるとともに実効性に乏しかったなどと主張するけれども、原告を別の医師に受診させるなどの対応は取り得たはずであり、医学的見地からの検討を行っていないのであるから、結局のところ、C医師の判断を排斥する根拠に乏しいというほかない。」との判断を示している点が注目されます。

※一言コメント

メンタルヘルスの問題を理由とする休職事案は増えていると思われますが、復職の判断に際して参考になるケースです。特に、復職の可否について、医学的見地からの判断が重視されている点には実務上留意すべきであると思います。

休職期間の満了に伴う解雇が有効とされた事例(トッパンメディアプリンテック東京事件、東京地裁立川支部平成28年11月15日判決)

本件は、就労不能に伴う休職期間の満了後に復職困難として解雇された労働者が、就労不能となった原因は上司や同僚によるパワハラやいじめにあるとして、解雇無効を主張した事案です。主たる争点は解雇の有効性の点でした。

この点、裁判所は、解雇に至る経緯として、「前記1(1)認定の事実によれば、原告は、平成25年8月25日まで病気による欠勤をしていたが、同月26日以降の就労は可能であるとして、職場復帰を求めていたこと、被告が平成26年1月分以降の賃金の不支給の方針を示したところ、これに強く反発したこと、被告が原告を同年4月1日から1か月の休職としたところ、適応障害により3か月間の自宅療養を要する旨のこれまでの説明とは異なる診断書を提出したことが認められる。それにもかかわらず、被告は、原告から被告の担当者と医師との面談に係る同意書(※原告労働者の主張する病状が事実かどうかを確認するため、被告会社の担当者が、原告を診察して診断書を作成した医師に対して面談を求めることについての同意書)が提出されることを期待して、休業機関を同年9月30日まで延長したが、同意書が提出されなかったため、復職の判定をすることができないとして、就業規則57条5号に基づき同日付けで原告を解雇したものである(本件解雇)」という事実認定を確認しました。

そのうえで、「上記(1)認定の本件解雇に至る経緯に加えて、原告は欠勤や遅刻等が多く、上司や同僚に対し反抗的かつ粗暴な態度や協調性に欠ける言動を繰り返し、2度にわたりけん責の懲戒処分を受けても、勤務態度が改まらなかったこと、原告は上司の注意を聞かず、無断で職場を離脱するなど職場の規律を乱す行為を繰り返したこと(前記1(1)イ~キ)、そのため、上司や同僚の中には体調不良を訴える者もいたこと(書証略)といった事情を考慮すると、本件解雇には客観的にみて合理的な理由があり、社会通念上相当であると認めるのが相当である」と結論付けました。

※事実認定の部分は長いので割愛いたしますが、

①パワハラ被害を訴える原告労働者の方に大きな問題があった

②会社側が労働者の主治医と面談しようと試みたことに対し労働者側が応じなかった

という2点を認定したことが、「会社が復職の可否を判断するうえで合理的努力を尽くしたにもかかわらず、労働者の意思でこれが妨げられ、それゆえ会社が復職可否を判断できない以上、休職期間満了とともに解雇もやむを得ない」という結論につながったものと思われます。

現在の居住地から通勤できる職場への復職を求め、元の職場での復職を拒否した労働者に対する解雇が有効とされた事例(三菱重工業事件、東京地裁平成28年1月26日)判決

本件は、被告会社に雇用されて勤務していた原告労働者が、私傷病での休職後、復職に際して、元の職場(愛知県)ではなく現住所(埼玉県)から通勤可能な職場への復職を求めたところ、元の職場への復職を命じられたため、これを不服として出勤を拒否しました。すると、被告会社は当該出勤拒否を理由に原告を解雇したため、原告が当該解雇の有効性が争ったというものです。

原告は「復職に当たり、同居の家族による生活全般の支援が不可欠であることを前提に現住所から通勤可能な職場に異動するよう求めているのであるから、債務の本旨に従った労務提供の申し出があり、被告はこれに配慮した職場を検討すべき法的義務があるのに、これを果たさないまま原職場での復職を命じ、これに応じないと解雇するに至ったものであり、本件解雇には客観的合理的理由及び社会通念上の相当性がない」と主張していました。

しかし、裁判所は、まず、原告が原職場以外の事業所で就労することの現実的可能性について検討し、「原告は同製作所の工場で技能職として労務を提供することが予定され、他の事業所等に配転することは想定されていないものと認められる」としました。

また、被告から原告になされた復職命令の目的・性質について検討し、被告の制度上、「被告の職場復帰支援制度も原職場で短時間勤務を開始することを予定している」としました。

なお、原告の主張については、「原告は、復職には同居の家族による生活全般の支援が不可欠であるとして現住所から通勤可能な勤務場所を求めているが、業務内容や勤務時間等の就業上の配慮はともかくとして、原告の食事、洗濯、金銭管理等の生活全般の支援をどうするかは本来的に家族内部で検討・解決すべき課題である。これまでに名古屋製作所で実施された職場復帰支援による短時間勤務の実例でも、家族の方で同居するか頻繁に行き来するなどして私生活をサポートしている(書証略)。しかも、本件で原告が挙げる理由は、原告の実姉が働いているのでその子供らの世話を実母A’がしなければならず、そのため実母A’は原告に同伴して転居することはできず、これに伴い原告も転居できないので現住所から通勤できる勤務地を求めるというものであり、家庭内の事情を優先した形で企業側に対応を求めている。」として、その正当性を認めませんでした。

結論として、「原告が現住所から通勤可能な勤務地での復職を申し出ても、債務の本旨に従った労務の提供を申し出ているとはいえず、また、この申し出に対して被告が就労の現実的可能性のある業務を調査・検討すべき義務があるともいえず、被告が原職場での復職を命じた復職命令は相当である。(中略)原告は、かかる復職命令が出ているにもかかわらず、これを拒否する態度に出て、その後も復職命令が出され(ママ)もこれに応ぜず現住所から通勤できる勤務地を求めることに終始している」として、これが解雇事由に当たるので、本件解雇は有効であると判断しました。

※一言コメント

「原告の食事、洗濯、金銭管理等の生活全般の支援をどうするかは本来的に家族内部で検討・解決すべき課題」であり、企業の側で労働者の要望に沿った業務等を探す法的義務はない、という判断は法律論としては首肯できるものと考えます。もっとも、本件では、労働者の業務内容として「原職場以外の事業所への配転はない」ということが前提となっていますので、この前提が異なれば(=例えば、全国的に転勤の可能性があった等)、異なる判断に至った可能性もゼロではないと思われます。

内部告発等の態様を理由とする懲戒解雇が有効とされた事例(甲社事件、東京地裁平成27年11月11日判決)

本件は、被告(会社)の従業員であった労働者(原告)が、内部告発等を理由になされた懲戒解雇は無効であると主張した事案です。争点は、懲戒解雇の有効性(懲戒事由の有無、解雇の相当性)という点でした。

本件で、被告は4つの懲戒解雇事由を挙げていましたが、これはいずれも原告の内部告発(被告におけるガソリンの販売等で不正が行われていること)に関するものでした。この点、裁判所は、内部告発の懲戒事由該当性について「労働者の内部告発は、みだりに労働者が負っている使用者の利益を害しないようにするいわゆる誠実義務に違反するものとして懲戒解雇の対象となりうるが、他方で、労働者による内部告発が使用者による法令違反行為の是正・抑止を促進することにもつながるものであり、正当な内部告発であれば、これを保護する必要がある。したがって、内部告発の有効性については、①労働者の行った告発対象事実の根幹部分が真実であるか、労働者が真実であると信ずるにつき相当の理由があるか否か(真実または真実相当性)、②その目的が公益性を有しているか否か(目的の公益性)、③内部告発を行った手段、態様が必要かつ相当なものであるか否か(手段または態様の相当性)を総合的に考慮して、労働者の行った内部告発が正当と認められる場合には、内部告発の違法性は阻却され、これを理由とする懲戒解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上も相当とはいえず、無効になると解される」として、従来の裁判例同様の判断枠組みを示しました。

その上で、本件で、①(真実または真実相当性)については、告発された事実の真実性は認められないが、原告が被告において不正行為が行われていると信じたことについては相当の理由がある、として、これを肯定しました。

しかし、②(目的の公益性)については、「本件告発の目的として、被告の詐欺行為を世の中に明らかにして社会正義を実現するという目的が無かったとはいえないものの、主たる目的は、原告に対する別件未払賃金を早期に支払ってもらうことや本件告発をしない代わりに被告から口止め料のような解決金を支払ってもらい、若しくは自己の労働条件の改善として希望する時間の残業をさせてもらうことにあったというべきであり、かかる目的は私的な利益を図る目的と言わざるをえない」として、目的の公益性を否定しました。

また、③(手段または態様の相当性)についても、不正行為の証拠の提示を求められながらこれに応じなかったこと、第三者に対して事実と異なる通報をしたこと、等を挙げ、態様の相当性を否定しました。

以上の検討により、結論として、原告の行為は正当性を欠き、懲戒の対象になるとしました。

その上で、本件懲戒解雇の有効性については、上記の懲戒事由(正当性を欠く内部告発)について「本件告発の主たる目的が原告の私的な利益を図るものであったというべきことや本件告発の態様等に照らせば、労働者が負っている誠実義務に著しく違反するものと評価すべきであり、本件告発が契機となって、本件過剰請求が明らかになり、被告による不適切なガソリン代金請求が是正されたことを十分斟酌しても、その情状は悪いというべきである」とし、その他、他の従業員に対する業務妨害、被告での販売業務に取り組まなかったこと、労働者には懲戒解雇時に弁明の機会が与えられていたこと、を挙げ、結論として本件の懲戒解雇は有効と判断しました。

※ひと言コメント

「原告の告発の動機・態様に問題があった」という認定が結論を決める上で大きな要素となっています。

アナウンス業務従事者に対する業務委託契約の解除が無効とされた事例(日本放送協会事件、東京地裁平成27年11月16日判決)

本件は、被告(放送会社)によるフランス語ラジオ講座においてアナウンス業務を担当していた労働者が、東日本大震災に伴う避難で業務を行わなかったことを理由として不当解雇されたと主張して、労働契約上の地位にあることの確認等を求めたものです。

本件では、①そもそも、原告と被告との契約が労働契約だったのか業務委託契約だったのか②解雇(または解約)の有効性という点が主な争点となりました。

このうち、①については、裁判所は「原告がその業務遂行の方法等について被告の指示・指導等を受けていたとは認められず、原告は、依頼された業務を第三者に再依頼することも許されており、また、就業する際の時間的・場所的拘束の程度も緩やかであったことからすれば、原告が被告の指揮監督下で労務を提供していたとはいえない。報酬の支払方法や公租公課の負担等を見ても、原告が労働基準法、労働契約法の労働者であることの根拠となる事情は見当たらず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。したがって、本件契約は労働契約とは認められず、前記業務の内容や業務遂行方法等における原告の独立性の強さに照らすと、本件契約は、準委任契約としての性格を有する業務委託契約と解するのが相当である。」として、労働者性の判断要素(仕事の依頼への諾否の事由、業務遂行上の指揮監督、時間的場所的拘束性、代替性、報酬の算定・支払方法など)を検討し、労働契約性を否定しました。

それゆえ、本件は、厳密には労働事件(解雇の有効性が問題になった事案)ではないのですが、②解約の有効性について、「被告は、公共放送・国際放送の重要性、取り分け東日本大震災が発生したような緊急時におけるその役割の大きさを強調し、原告が長年被告の業務を続け、その重要性を認識しながら、突然職務を放棄したのは無責任であって、原被告間の信頼関係は完全に破壊されたとも主張する。なるほど、緊急時の海外向け・フランス語聴取者向けの情報発信が極めて重要な役割を担っていることを否定するものではないが、東日本大震災及び福島第一原発事故発生当時の状況に照らすと、生命・身体の安全を危惧して国外等への避難を決断した者について、結果的に危険が生じなかったとしても、その態度を無責任であるとして避難することなど到底できない。国際放送の重要性に思いを致し不安の中で職務を全うした者は大きな賞賛をもって報いられるべきであるが、そうした職務に対する過度の忠誠を契約上義務付けることはできないというべきである。」と判示し、結論として解約は無効と判断しました。

※ひと言コメント

東日本大震災という極めて大きな災害を前提とした判断ではありますが、形式的には債務不履行(労務の不提供)に当たるものであっても、状況次第では契約上の責任が否定されることがありうるという考え方は、労働事件(解雇の事案など)においても参考になると思われます。

鉄道会社社員が行った痴漢行為を理由とした諭旨解雇処分が無効とされた事例(Y社事件、東京地裁平成27年12月15日判決)

本件は、鉄道会社にて正社員として勤務していた労働者が、勤務時間外に、当該会社の運行する路線で痴漢行為を行ったことを理由に諭旨解雇処分を受けたため、当該解雇処分が無効であるとして、地位確認及び未払賃金の請求を行ったというものです。争点は、諭旨解雇処分の有効性(解雇事由の有無、処分の相当性、適正手続の有無等)でした。

この点、裁判所は、労働者の私生活において行われた非行について「従業員の私生活上の非行であっても、会社の企業秩序に直接の関連を有するもの及び企業の社会的評価の毀損をもたらすと客観的に認められるものについては、企業秩序維持のための懲戒の対象となり得る」という、従来からの裁判所の立場を確認しました。その上で本件について「被告は、他の鉄道会社と同様、本件行為の当時、痴漢行為の撲滅に向けた取組を積極的に行っており、また、原告は、原告が本件行為を行った当時、被告の駅係員として勤務していたというのである。これらの点に照らせば、本件行為は、被告の企業秩序に直接の関連を有するものであり、かつ、被告の社会的評価の毀損をもたらすものであるというべきである。したがって、本件行為は、被告における懲戒の対象となる」としました。

そして、解雇事由(痴漢行為の有無)については、労働者側は痴漢行為自体行っていないと争っていましたが、裁判所は痴漢行為の存在自体は認定しました。

しかし、当該行為に対する諭旨解雇処分が相当かどうかという点については、「本件行為は男性が電車の中で5ないし6分にわたって当時14歳の被害女性の臀部及び大腿部の付近を着衣の上から触るというものであり、また、原告は、本件行為につき、略式命令を請求されるにとどまり、かつ、本件略式命令についても、罰金20万円の支払を命じられるにとどまったというのである。(中略)本件行為のような痴漢行為が許されないものであることは当然であるものの、本件行為は、上記規定による処罰の対象となり得る行為の中でも、悪質性の比較的低い行為である」としました。

また、「鉄道会社である被告は他の鉄道会社とともに本件行為の当時に痴漢行為の撲滅に向けた取組を積極的に行っていたというのである。この点に鑑みれば、一般的には、本件行為が被告の企業秩序に与える悪影響の程度は、鉄道会社以外の会社の社員が痴漢行為を行った場合に当該行為が該当会社に与える悪影響の程度に比べれば、一般的には多いく成り得るものと考えられる」として、被告会社の立場に理解を示しながらも、「しかし、(中略)本件行為ないし本件行為に係る刑事手続についてマスコミによる報道がされたことはなく、その他本件行為が社会的に周知されることはなかったというのである。また、(中略)本件行為に関し、被告が被告の社外から苦情を受けたといった事実を認めるに足りる証拠も見当たらない。以上にかんがみれば、本件行為が被告の企業秩序に対して与えた具体的な悪影響の程度は、大きなものではなかったというべきである」として、その他、本件の労働者の勤務態度に問題はなく、これまでに懲戒処分を受けたことがないこと、被害女性と示談を試みたこと等を挙げ、「本件行為に係る懲戒処分として、諭旨解雇という原告の被告における身分を失わせる処分をもって臨むことは、重きに失すると言わざるをえない」としました。

なお、被告は、本件のような事案で諭旨解雇処分というのは、被告におけるこれまでの事例との間でも公平な措置である旨の反論をしていましたが、裁判所は「被告は、本件行為のような痴漢行為をした被告の従業員に対する懲戒処分を決定するに際しては、当該従業員が当該痴漢行為について起訴(略式命令が請求される場合を含む。)されたかどうかだけを基準とし、この際、当該痴漢行為の具体的な態様や悪質性、当該従業員の地位、当該従業員が当該痴漢行為について隠ぺい工作をしようとしたかどうか、当該従業員の日ごろの勤務態度については考慮の対象としておらず、本件処分を始め、被告における痴漢行為に係る懲戒処分は、いずれも、上記基準に基づいて決定されていたとの事実が認められる。上記のような決定の方法は、従業員に対する懲戒処分という従業員の権利、利益に重大な影響を及ぼす処分の内容を決定する方法としては不合理にすぎると言わざるを得ない。したがって、本件処分につき、被告において上述のような方法で行われてきた過去の懲戒処分の例との関係での公平性を検討することには、有意の意味があるとは言い難い。」「かえって、本件処分が上述のような決定方法に従って行われたことは、本件処分の相当性に疑義を生じさせる事情である」として、被告の反論を認めませんでした。

その他、諭旨解雇の手続についても、「原告が本件において原告に対する処分を決定する具体的な手続が進行していることを知らされず、このような中で原告が同手続において弁明の機会を与えられなかったことについては、本件処分に至る手続に不適切ないし不十分な点があったものと言わざるをえない」と指摘しました。

以上のとおり、結論として、本件の諭旨解雇処分を無効と判断し、雇用契約上の地位確認及び解雇期間中の未払賃金請求を認めました。

※一言コメント

解雇無効の結論ですが、企業秩序に対する悪影響の程度が強くないと評価されたこと、諭旨解雇の判断基準及び解雇手続に不備があったこと、が大きいものと思われます。したがって、同種の痴漢行為であっても、これらの点が本件と異なる事案であれば、解雇有効という判断もありうると思います。

シニアマネージャーに対する試用期間中の解雇が有効と判断された事例(キングスオート事件、東京地裁平成27年10月9日判決)

本件は、会社の管理部シニアマネージャー(職務内容としては、経理・財務・人事・総務・貿易事務の統括業務)として、期間の定めなく採用された労働者(試用期間3か月)が、試用期間満了時に解雇されたことを受けて、当該労働者が解雇の無効等を主張したという事案です。主な争点となった解雇の有効性について、会社側は、解雇理由として、①労働者が単純なインプット作業(業務についての情報をPCに入力するもの)を十分に履行するとができなかった②シニアマネージャーとして、会社の現金管理等に問題があった③会社における内部統制整備業務を十分に履行しなかった④勤務態度に問題があった、という点を挙げていました。

これに関し、裁判所は、②及び③については原告(労働者)の能力に問題はなかったとしましたが、要旨以下のように述べて、解雇の有効性を認めました。

原告には管理部の責任者として高い水準の能力を発揮することが求められていたところ、十分な時間をかけて指導を受けたにもかかわらず、インプット作業のような単純作業を適切に行うことができないなど、基本的な業務遂行能力が乏しく管理職としての適格性に疑問を抱かせる態度もあったこと、原告のインプット作業によりGらの業務が停滞して苦情が出され、インターネット閲覧についても女性従業員から苦情が出されるなど、被告の業務に支障が生じていたこと、前任者として原告に引継ぎ、指導を行うべきEが平成26年2月には出向解除によりプロト社に戻る予定であり、上記のような状態で原告が管理部のシニアマネージャーになれば、原告が適切に管理部の統括業務を遂行することができず、管理部の業務により大きな支障が生じる恐れがあると判断されてもやむを得ない状態であったことが認められる。」

「これに加えて、被告の規模や原告の採用条件によれば配置転換等の措置をとるのは困難であったとも認められること、原告は当時試用期間中であり、インプット作業の問題について繰り返し指導を受けるなど、改善の必要性について十分認識し得たのであるから、改めて解雇の必要性を告げて警告することが必要であったとはいえないこと等の事情も考慮すると、本件解雇が試用期間の経過を待たずに決定されたものであること、原告が同年2月22日に抑うつ状態と診断されていること等、原告が主張する事情を考慮しても、本件解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合に当たるものとは認められない。」

※一言コメント

裁判所の判断には「この事件の原告は、年棒730万円という高額な給与で、即戦力として採用された」という前提があると思われます。試用期間については、通常の場合よりも解雇が認められやすくなりますが、これが、新卒の新入社員の解雇事案であれば、また異なった結論が出る可能性もあると思います。

採用時の虚偽申告等を理由として解雇した労働者に対する会社からの損害賠償請求が一部認容された事例(KPIソリューションズ事件、東京地裁平成27年6月2日判決)

本件は、会社から解雇された労働者が解雇無効を主張して会社を提訴したところ、会社は、解雇有効と主張したうえ、逆に当該労働者に対し「労働者が採用時に会社に対して自身の経歴・能力について虚偽の申告をしていたこと」を理由に損害賠償請求をしたという事案です。

本件では、解雇の有効性、会社の労働者に対する損害賠償請求の可否という点が争点となりました。

この点、解雇の有効性に関しては、労働者による経歴等の詐称が解雇事由に当たるかと言う点については「労働者による経歴等の詐称は、かかる信義則上の義務に反する行為であるといえるが、経歴等の詐称が解雇事由として認められるか否かについては、使用者が当該労働者のどのような経歴等を採用に当たり重視したのか、また、これと対応して、詐称された経歴等の内容、詐称の程度及びその詐称による企業秩序への危険の程度等を総合的に判断する必要がある」という判断基準のもと、本件の労働者が、①他社に在職中か否か②システムエンジニア・プログラマーとしての能力全般③日本語能力、を詐称していたことを認定し、これらの詐称の結果「被告は、原告に業務を任せることができず、業務を他の従業員に委ねたり、別の開発者の派遣を受けたりして対応せざるを得なくなったものであ」るとし、その他労働者が外部研究資料の無断転用を行った等の事実も挙げたうえ、就業規則所定の解雇事由に該当すること、労働者の言動は会社との信頼関係を破壊する悪質なものであるとして、本件解雇は有効と判断しました。

また、会社が、こうした経歴詐称等を理由に労働者に対して損害賠償請求ができるか否かについては、雇用関係は「労働者が使用者の指揮命令下において業務に従事し、この労働力の提供に対し使用者が賃金を支払うことを本質とするものであり、使用者は、個々の労働者の能力を適切に把握し、その適性等を勘案して労働力を適切に配置した上で、指揮命令等を通じて業務上の目標達成や労働者の能力向上を図るべき立場にある」ため、労働者が採用に際して虚偽申告して採用された場合、「こういった労働者の言動が直ちに不法行為を構成し、当該労働者に支払われた賃金が全て不法行為と相当因果関係のある損害になるものと解するのは相当ではない。労働者が、前記のように申告を求められ、あるいは確認をされたのに対し、事実と異なる申告をするにとどまらず、より積極的に当該申告を前提に賃金の上乗せを求めたり何らかの支出を働きかけるなどした場合に、これが詐欺という違法な権利侵害として不法行為を構成するに至り、上乗せした賃金等が不法行為と相当因果関係のある損害になると解するのが相当である」としました。

これは、要旨、個々の労働者の能力の把握は基本的に使用者の責任であるが、労働者の悪質性が顕著な場合に限り不法行為に該当しうるという判断枠組みを示したものといえるでしょう。

そして、本件では、労働者が経歴等を詐称して賃金の増額を求めた当該増額分について、不法行為と相当因果関係を有する損害であるとしました。

諭旨解雇は無効であるが、普通解雇は有効とされた事例(X高等学校事件、東京地裁平成27年2月18日)

本件は、被告(高校)と雇用契約を締結して高校教諭として働いていた原告(労働者)が、18歳未満の女性と性交渉をもったという被疑事実で逮捕されたこと等を受け、原告を諭旨解雇処分にしたこと(その後、原告は不起訴となったが、高校側は再度、普通解雇処分を行った)について、原告がその無効を争ったというものである。

この点、裁判所は、諭旨解雇については「原告が4月5日に本件女性と性交渉をした際に、本件女性が18歳未満であると認識していたことを認めるに足りる証拠はない」として、「本件各非違行為が都条例18条の6違反の犯罪が成立する旨の被告の主張を採用することはできないから、そのことを前提とする本件諭旨解雇事由は、その存在を認めることができない。」としたうえ、諭旨解雇の手続についても「調査委員会は、本件諭旨解雇に当たり、原告に対する査問を行っておらず、本件諭旨解雇には、被告就業規則72条1項ただし書が規定する手続違反があるというべきである」「加えて、被告が懲戒処分通知書(書証略)において、本件諭旨解雇事由における非違行為の内容を明らかにしておらず、本件訴訟で、当初、本件諭旨解雇事由として主張した本件非違行為が、本件被疑事実は、日時、場所及び態様を異にする行為であったことからすれば、被告(調査委員会)は、本件諭旨解雇を決定する手続において、本件被疑事実自体を把握しておらず、原告が実際に行った行為を確定しないままに、本件諭旨解雇をしたことが強く推認され、そのことからも、本件諭旨解雇の手続き面における相当性を認めることはできない」として、結論として「本件諭旨解雇は、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上も相当であるということはできないから、権利を乱用したものであって、無効である」と判断しました。

しかし、普通解雇については、17歳の女性を自宅マンションに宿泊させて性行為に及んだ事実を認定したうえ、原告が当該女性と同年代の生徒と接する教員であったことを挙げ「極めて不適切で、倫理的、道義的に非難されるべきものであり、被告の教員としての適格を欠くことを示す行為である」としました。また、原告の行為により「原告が逮捕されたことがマスコミ報道され、被告がマスコミ対応に追われたほか、本件学校の保護者及び生徒等に謝罪をし、インターネット上に開設する本件学校のホームページにも謝罪文書を掲載することを余儀なくされている」ことを挙げたうえ、原告について「インターネット上に、本件訴訟で被告に勝訴した等の虚偽の事実を掲示するなど(書証略)、更に被告の信用や名誉を傷つける行為を行っており、原告が以前にも、当時交際していた20歳の女子大学生との別れ話を巡るトラブルとなり、女性の父親らしき者から被告に対して抗議と善処を求める手紙が送られるなど(書証略)、その行状について芳しくない側面もうかがわれる。このような原告が被告の教員としての適格を欠く事情も加味すれば、原告と被告との間の信頼関係は、本件雇用契約の継続を困難とする程度に破壊されていると評価するほかない」として、原告が反省の態度を示していること、これまで懲戒歴がなく、被告教員や原告の教え子から復職を求める嘆願書が出ていることなどの事情を考慮しても、「本件普通解雇について、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上も相当でないということはできない」として、普通解雇を有効と判断しました。

大学に多額の損害を与えたとして、教授の解雇を有効と判断した事例(X大学事件・東京地裁平成26年12月24日判決)

本件は、X大学の教授であった労働者が、茨城県Y市が行った風力発電事業にX大学の担当者として関与した(Y市とX大学で業務委託契約を締結)が、当該事業で多額の損害が発生してY市から大学が損害賠償請求を受けることになったことに関し、①X大学側が、教授としての適正を欠くとして労働者を解雇し、②X大学がY市に支払った損害賠償額の8割の支払いを求めた、という事案です。

本件では、主に①解雇事由が認められるか②X大学が被った損害(=Y市への支払額)についての、教授/X大学の負担割合、という点が問題となりました。

この点、裁判所は、①について、教授には「本件事業の所期の目的を達成するよう助言・指導する」義務があったと認定し、本件の事実関係において労働者は当該義務に違反していたと判断しました。そして「原告(労働者)は、自己の義務を履行しなかったことによって、、被告(X大学)に多額の損害を与え、被告の信用を毀損したのであり、しかも、そのことについて、何ら反省の態度を見せていないことからすれば、原告にX大学の教員としての適格性が欠けているとの教授会、理事会の判断は相当なものと認められる」として、本件解雇の有効性を認めました。

一方、②については「外部の者から業務を請け負う際に生じたリスクに対する管理体制が構築されていなかったことが、本件契約の業務委託料が1750万であるにもかかわらず、被告がY市に対して、1億円を越える損害賠償金の支払を余儀なくされた大きな原因である」として、「本件契約から生じるリスクに対する管理体制を構築していなかった被告に損害の多くの部分を負担させるのが相当である」として、労働者が負担すべき損害額は25%が相当であると判断しました。

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