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残業代に関する裁判例 バックナンバー①

残業代に関する裁判例①

残業代に関する最新の裁判例について、裁判所の判断のポイントをご紹介いたします(随時更新予定)。

基本給に組み込まれた固定残業代の規定が無効とされた事例(WIN at QUALITY事件,東京地裁平成30年9月20日判決)

本件は,「トラック運転手の拘束時間112時間に及ぶことを前提に、1日の法定労働時間の上限である8時間を超える4時間分につき、一律に1.5倍の割増しをし、「(基本給802)< 1.5倍)× 4時間」を時間外手当として支払う趣旨を定めるものとも解され、同算定式により算出される金額(4812円)は、「時間外手当」として日給(13000円叉は1 4000円)の中に含まれる」という形で,割増賃金が基本給に含まれているとされていた会社において,固定残業代としての支払の有効性が問題となった事案です。

裁判所は以下のとおり,固定残業代支払としての有効性を否定しました。

「そもそも,被告の主張によれば,原告らに支給した賃金のうち,「時給802円×8時間」に月の勤務日数を乗じて算出される部分以外は,(リクルート手当や扶養手当を除けば)全て時間外労働等に対する対価であるというのであり,かかる被告の主張を前提とした場合,上記「時間外手当」のほかに,雇用契約書上「無事故手当」として基本給に含まれるとされる部分も,時間外労働等に対する割増賃金として支払われたものということになる。しかし,本件規定及びこれに整合する「時間外手当」の定めがありながら,これとは別個の手当てとして定められた「無事故手当」が,その名称にかかわらず,やはり時間外割増賃金等の趣旨で合意されたものとはにわかに解し難く,雇用契約書(書証略),就業規則(書証略)及び賃金規程(書証略)の記載によっても,これが時間外割増賃金等の実質を有するものであったとは認め難い。」

「また,そもそも,原告らの実際の賃金支給状況は,必ずしも雇用契約上の定めに沿ったものとなっていない。(中略)雇用契約書の記載に沿わない賃金支払の実態があったことに照らすと,そもそも,雇用契約書(書証略)の記載自体が,原告らと被告との間の労働契約の内容を正しく反映したものであるかについて疑問があり,前記イのような被告の主張(「基本給802円×8時間」に月の勤務日数を乗じて算出される部分以外はすべて時間外労働等に対する対価であるとするもの)も,雇用契約書の内容と整合するものとはいい難いことも踏まえると,雇用契約書上に「時間外手当」とある部分に限って,なお時間外労働等に対する対価として支払うとの合意が労使間に有効に存在し,これに沿った現実の取扱いがなされていたとも認め難く,この部分に限り固定残業代として有効なものと認めることも困難である(もとより,被告もそのような主張をしない。)。

 そうすると,被告が時間外割増賃金等として支払ったと主張する部分が,通常の労働時間の賃金に当たる部分と明確に区分された上で,時間外労働等に対する対価として支払われたとは認められず,労働者において,労働基準法37条等に定められた方法により算定される割増賃金が正しく支払われているのかを検証することは困難であったといわざるを得ない。

 また,仮に,被告の主張するように,原告らに支払われた賃金のうち,「時給802円×8時間×月の勤務日数」により算出される部分以外は,すべて時間外労働等に対する手当として支払われたものであるとすると,予定される時間外労働等の時間数は膨大なものになる(注:原告Aは1箇月当たり199時間,原告Bは1箇月当たり145時間。これらの時間は)原告らの実際の時間外労働等の時間数をも大きく上回るものであり,原告らの勤務の実態とかい離する。また,被告の主張を前提とすれば,これほど長時間に及ぶ時間外労働等を想定して割増賃金を毎月あらかじめ支払う一方,法定時間内の通常の労働に対する対価としては,平成27年10月1日以降,基本給以外の手当の支払がない月には埼玉県の最低賃金額(同日を発効日とする平成27年度の最低賃金額は820円)をも下回る時給802円しか支払わないという不合理な合意であったということになるが,このような内容の合意が真実,労使間で有効に成立していたとは認め難い。

 そうすると,結局,本件において,被告が時間外労働等に対する対価として支払ったと主張する部分は,①法定時間内の通常の労働の対価となる賃金部分と明確に区分されていないため,労働者において,労働基準法37条等所定の方法により算定される時間外労働等に対する割増賃金が正しく支払われているのかを検証することも困難である上,②予定される時間外労働等が極めて長時間に及び,原告らの実際の時間外労働等の状況とも大きくかい離するものであることなどからすると,原告らと被告との間の雇用契約において,真に時間外労働等に対する対価として支払われるものとして合意されていたものとは認められない。」

業務手当の支払が定額残業代として有効とされた事例(日本ケミカル事件,最高裁第一小法廷平成30年7月19日判決)

本件は,時間外手当の趣旨で支払われたとされる業務手当が,定額残業代の支払として有効か否かが争点となった事案です。この点に対する最高裁の判断が示されたもので,実務的には非常に重要な判例となります。

定額残業代制度の有効性について,原審(高等裁判所)は「いわゆる定額残業代の支払を法定の時間外手当の全部又は一部の支払とみなすことができるのは,定額残業代を上回る金額の時間外手当が法律上発生した場合にその事実を労働者が認識して直ちに支払を請求することができる仕組み(発生していない場合にはそのことを労働者が認識することができる仕組み)が備わっており,これらの仕組みが雇用主により誠実に実行されているほか,基本給と定額残業代の金額のバランスが適切であり,その他法定の時間外手当の不払や長時間による健康状態の悪化など労働者の福祉を損なう出来事の温床となる要因がない場合に限られる」と判示していました。

しかし,最高裁は,「労働基準法37条が時間外労働等について割増賃金を支払うべきことを使用者に義務付けているのは,使用者に割増賃金を支払わせることによって,時間外労働等を抑制し,もって労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに,労働者への補償を行おうとする趣旨によるものであると解される(略)。また,割増賃金の算定方法は,同条並びに政令及び厚生労働省令の関係規定(以下,これらの規定を「労働基準法37条等」という。)に具体的に定められているところ,同条は,労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまるものと解され,労働者に支払われる基本給や諸手当にあらかじめ含めることにより割増賃金を支払うという方法自体が直ちに同条に反するものではなく(略),使用者は,労働者に対し,雇用契約に基づき,時間外労働等に対する対価として定額の手当を支払うことにより,同上の割増賃金の全部又は一部を支払うことができる。そして,雇用契約においてある手当が時間外労働等に対する対価として支払われているものとされているか否かは,雇用契約に係る契約書等の記載内容のほか,具体的事案に応じ,使用者の労働者に対する当該手当や割増賃金に関する説明の内容,労働者の実際の労働時間等の勤務状況などの事情を考慮して判断すべきである。しかし,労働基準法37条や他の労働関係法令が,当該手当の支払によって割増賃金の全部又は一部を支払ったものといえるために,前記3(1)のとおり原審が判示するような事情が認められることを必須のものとしているとは解されない。」として,本件では,

・雇用契約書や賃金規程などで,業務手当が時間外労働の対価として支払われる胸が記載されていたこと

・業務手当の額が,1か月当たりの平均所定労働時間を基準に算定すると約28時間の時間外労働に対する割増賃金に相当するもので,実際の時間外労働時間と大きくかい離するものではないこと

から,本件の業務手当は時間外労働等に対する賃金支払いに当たる,と結論付けました。

給与規定改正の経緯などから,みなし残業代の支払が無効とされた事例(クルーガーグループ事件,東京地裁平成30年3月16日判決)

本件は,平成25年4月1日までの給与規定では,営業手当として,みなし残業代を含む月額4万8000円を支給するとされていたものが,平成25年4月1日以降は営業手当が廃止されみなし残業代として5万円が支払われることになった,という事案で,みなし残業代支払の有効性が争点となったものです(その他の争点は割愛)。

裁判所は,以下のとおり述べ,結論としてみなし残業代の支払を無効としました。

「被告は,みなし残業代は残業代の弁済としての効力を有すると主張する。みなし残業代が弁済としての効力を有するためには,労働契約における基本給等の定めにつき,通常の労働時間の賃金に当たる部分とみなし残業代に当たる部分とを判別することができること(明確区分性)が必要であり,かつ,みなし残業代に当たる部分がそれに対応する労働の対価としての実質を有すること(対価性)が必要と解される。

(中略)

被告の給与規程の変更経過からすると,平成25年4月1日より前に営業手当として4万8000円支給されていたものが同日から廃止となり,みなし残業代として5万円を支給するようになっているから,実質的には同一のものというべきである。そして,営業手当は東京月間37時間残業したものとみなすとの記載はあるが,その後のみなし残業代よりも金額が2000円低いにもかかわらず,時間は4.2時間増えているなど,月間37時間とする根拠が不明確である上,営業成績や精勤の程度によって支給されないことがあるとされていたものであるから,残業代以外の趣旨も含んでいたと認められ,残業代とそれ以外の部分が明確に区分されていたとはいえない。

 同月1日よりみなし残業代を支給するようになってからは,5万円が32.8時間分の残業時間に相当することが定められているが,依然として営業成績が規定のポイントを超えない場合にはみなし残業代が減額されるとの定めがあり,実際に営業成績により減額支給されたこともあったと認められる(人証略)。したがって,みなし残業代となってからも,残業代以外の趣旨を含んでいたと認められ,残業代とそれ以外の部分が明確に区分されていたとはいえない。

 給与規定の表1(書証略)には,深夜残業として5万円の記載があり,みなし残業代の記載はない。そうすると,みなし残業代は全てが深夜残業に対する支払いなのか,法定時間外労働に対する支払を含むのか,深夜残業に対する支払としても0.25の割増部分のみなのか,その余の時間外労働に対する支払を含むのか,明確ではない。このことは,管理監督者扱いをしているものに対してもみなし残業代を支払っていることにより,さらに不明確となる。

 みなし残業代5万円が法定時間外労働32.8時間分に対する対価とすると,1時間当たり約1219円(2割5分割増考慮)となる。基本給が20万円を所定労働時間が164時間16分(164.27)で除すると約1217円となり,概ね一致する。しかし,基礎賃金に含まれるのは基本給以外にも役職手当,住宅手当,貢献給,歩合給,業績給などがあり,特にこのうち歩合給及び業績給については出来高払制その他の請負制の賃金であり,その計算はより複雑である。また,給与規定にみなされる残業時間を超えて残業する場合には別途割増賃金を支給する旨規定があるが,被告が管理監督者に当たらないとする甲1支店統括マネージャー賃金台帳(書証略)からすると,例えば平成28年3月25日支給分は,残業時間58.15時間,深夜時間14.98時間であるのに対し,深夜・残業として5万5025円が支払われており,このうち5万円がみなし残業代とすると,みなすこととされる32.8時間を25.35時間上回っているにもかかわらず,5025円しか支払われていないこととなり,被告において適切にみなし残業代を上回る残業代の精算が行われていたとは認められない。したがって,みなすこととする残業の時間が32.8時間と記載があるとしても,5万円という金額との対応は明確ではないといわざるを得ない。

 以上のとおり,被告のみなし残業代は,金額及び時間は明確に記載されているものの,その金額の中に残業代以外の趣旨も含むこと,時間がいかなる労働時間に対するものなのか明確ではないことなどにより,通常の労働時間の賃金に当たる部分とみなし残業代に当たる部分とを判別することができるとはいえない。

(中略)

 みなし残業代においてみなすこととする時間は32.8時間分とされているが,これは首都圏のものであり,仙台36.5時間,北海道38.6時間と,基本給によりみなすこととする時間を異にしている(人証略)。したがって,毎月一定の残業が予想されることからみなし残業代を定めたというよりも,5万円という金額からみなすこととする時間を逆算したものと認められる。これは営業手当4万8000円を東京月間37時間,仙台月間40時間,北海道月間42時間残業したものとみなしていたときも同様である。したがって,基本給の一部を名目的に残業代扱いしたにすぎないことを疑わせる。

 以上に加え,上記(2)オのとおり,金額と時間の対応が明確ではないこと,適切にみなし残業代の精算が行われていたとは認められないことを併せると,被告のみなし残業代は,みなし残業代に当たる部分がそれに対応する労働の対価としての実質を有するとはいえない。

 よって,みなし残業代は,明確区分性及び対価性があるとはいえず,弁済としての効力を有さず,基礎賃金に含まれるというべきである。」

基本給に組み込む形の固定残業代支払が有効とされた事例(イクヌーザ事件,東京地裁平成29年10月16日判決)

本件は,原告労働者が,基本給に組み込まれた月80時間の時間外労働に対する固定残業代(時期に応じ,月額8万8000円ないし9万9400円)の定めが無効であると主張して,これを基礎賃金に含めたうえでの残業代支払を求めた事案です。

この点,原告側は,契約上のみならず,給与支払時にも,固定残業代の額及びその対象となる時間外労働時間が明示されていることが必要と主張していましたが,裁判所は「被告は,本件雇用契約における基本給に80時間分の固定残業代(8万8000円ないし9万9400円)が含まれることについて,本件雇用契約書ないし本件年俸通知書で明示している上,給与明細においても,時間外労働時間数を明記し,80時間を超える時間外労働については,時間外割増賃金を支払っていることが認められ,基本給のうち通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外労働の割増賃金の部分とを明確に区分することができる」として,原告の主張を排斥しました。

 

また,原告は,被告が主張する固定残業代の対象となる時間(月80時間)は,36協定に関する厚労省の告示で示された上限時間(月45時間)を大きく超え,また,いわゆる過労死ラインとされる時間外労働時間に匹敵するものであるから,公序良俗に反し無効という主張もしていました。

この点,裁判所は「1か月80時間の時間外労働が上記限度時間を大幅に超えるものであり,労働者の健康上の問題があるとしても,固定残業代の対象となる時間外労働時間数の定めと実際の時間外労働時間数とは常に一致するものではなく,固定残業代における時間外労働時間数の定めが1か月80時間であることから,直ちに当該固定残業代の定めが公序良俗に反すると解することもできない」として,原告の主張を排斥しました。

結論として,本件の固定残業代の定めは有効と判断しました。

スポーツクラブの支店長について,管理監督者性が否定された事例(コナミスポーツクラブ事件,東京地裁平成29年10月6日判決)

本件は,要約すると,会員制のスポーツクラブで支店長として働いた労働者が,勤務中の残業代が未払いであると主張して,会社側にこれを請求した事案です。会社側は「支店長は「管理監督者」に当たり,法律上,時間外割増賃金等の支払は不要」として労働者側の主張を争ったため,支店長の管理監督者該当性が争点となりました。

裁判所は,以下のとおり述べて,管理監督者性を否定しました。

「(ア)職責及び権限について

前記認定事実によれば,支店長は,施設・設備の維持管理や対顧客サービスの提供,出入金の管理,損益目標達成のための施策の立案・実施等,支店の運営管理全般について責任者としての職責を担うとともに,従業員の勤務シフトの決定や,支店内のミーティングの主催,販売促進活動の企画・実施等の権限を有していたことが認められる。もっとも,支店において提供する商品及びサービスの内容の決定並びにそれに伴う営業時間の変更については,原則として被告の直営施設運営事業部が行っており,支店長は,これらに関わる提案をすることは可能であったものの,独自の判断で決定することはできなかったばかりか,これらのうち特に多額の出損を伴うような重要な事項について上程される経営会議への参加も原則として求められていなかった。

 さらに,支店長としての日常業務についてみても,アルバイトの採用や解雇,販売促進活動の実施,出損を伴う設備の修繕や備品の購入等については,被告の決裁を経る必要があって,設備の修繕については原告の判断が尊重されていないといわざるを得ない状況も存したほか,被告が定めた詳細な管理項目(KPI)により支店の損益目標が管理され,その内容について週報等による頻繁な報告や指導が行われたり,運営モデル等に極力沿った労務管理が要請されたりするなど,形式的には支店長が権限を有する事項についても,本部が定めた運営方針や,直営施設運営事業部長やエリアマネージャー等による指導等を通じて,支店の運営管理に関する支店長の裁量は,相当程度制限されていたというべきである。

 これらの事実からうかがうことのできる原告が支店長として有する裁量ないし権限の実態からすれば,被告の支店長が実質的に経営者と一体的な立場にあるといえるだけの重要な職務と責任,権限を付与されていたというに足りる裁量が与えられ,あるいは経営への影響力を有していたとまで認めるのは困難である。

(イ)労働時間の裁量について

 前記認定事実のとおり,原告は,被告から,なるべく支店の開店時間に立ち会うよう指示されており,早番で出勤することが多かったとはいえ,比較的柔軟に出勤時刻を調整して,中番や遅番で出勤していたことがうかがわれる。

 もっとも,これは,前記認定事実のとおり,支店の一般の従業員がシフト制で勤務をしていたために,特定の時間帯の人員が不足する場合や,閉店作業を行う従業員が他にいない場合に,原告の勤務時間を調整して対応していたことによるものでしかなく,被告においては,支店長も,一般の従業員と同様,年間の総労働時間が1900時間となり,かつ,各月の労働時間数が一定の範囲内に収まるように,事前に勤務計画を作成し,被告に対して自身の出勤日及び出勤時刻の予定を報告するとともに,タイムカードの打刻及び勤怠管理システムへの入力等により日々の出退勤時刻や実労働時間を報告するよう指示されていたほか,毎週週報を提出して直近の勤務予定(出勤時刻及び業務内容)や勤務実績(出退勤時刻及び業務内容)を上長に報告するものとされ,休日を変更する場合にはあらかじめ上長に報告することが必要であり,業務により外出する場合であっても上長の承認を要した上,少なくとも平成25年末頃からは,従業員の総労働時間が被告の定めた指標に沿うものとなるよう支店長自身の労働時間を調整するよう被告から指示されていたもので,これらの事実を踏まえれば,支店長についても,労働時間の実態把握や健康管理上の必要を超えて,労働時間の管理が一定程度行われていたとみるべきである。

 そして,このような被告における支店長に対する労働時間の管理実態に加え,原告を含めた複数の支店長が,人員不足の状況を踏まえて,管理業務のみならず,フロント業務やインストラクター業務等一般の従業員と同様の業務にも日常的に携わらざるを得ない状況にあり,そのために,本件請求期間中,原告は恒常的に時間外労働を余儀なくされていたことも併せ考慮すれば,被告において,支店長が自己の裁量で労働時間を管理することが許容されていたとも,それが可能であったともみることはできない。

(ウ)待遇について

 前記認定事実のとおり,支店長は,月額5万円又は6万円の役職手当が付与されるものとされており,原告も5万円を同手当として支給されていた上,本給部分についてみると,職能給部分について,M2級からM3級に昇格する際には昇格昇給4万円が付されるものとされていた一方,少なくとも平成25年4月以降,非管理職の最上等級であるM2級の職能給の範囲本給の幅(レンジ)が15万5000円以上20万1000円以下であったのに対し,M3級の範囲本給の幅(レンジ)は16万円以上23万円であり,これらにおいて想定されるその差は僅かであるばかりか,管理職であるM3級の範囲本給の額が非管理職であるM2級の範囲本給の額を下回る可能性もあったこと,職能給について上記昇格昇給と範囲本給との関係は明確ではないものの,範囲本給の額に昇格昇給の額が加算されるとしても,これに役職手当を加算した場合,M3級とM2級の金額差は4万9000円の差に留まるものとなる可能性があったこと(なお,M2級において役職手当が加算される場合には,その差はさらに縮まることになる。),また,前記のとおり,支店長が,人員不足の状況を踏まえて,管理業務のみならず,フロント業務やインストラクター業務等一般の従業員と同様のシフト業務も日常的に携わらざるを得ない状況にあって,恒常的に時間外労働を余儀なくされていたという勤務実態も併せ考えれば,時間外労働及び休日労働に係る割増賃金の支給がされないまま,上記額の役職手当の支給のみでもって,支店長に対し,管理監督者としての地位や職責にふさわしい待遇がなされているとはいい難い。」

本判決は,以上の点を理由に,支店長の管理監督者該当性を否定したものです。

※一言コメント

認定された事実を前提とすると,妥当な判断だと思われます。「管理監督者」に当たる(だから時間外割増賃金等の支払は不要)という反論は,会社側からよくなされる主張の一つですが,これが認められるケースは実務上そこまで多くないと思われます。

定額手当制の固定残業代について、時間外労働時間の特定、超過労働時間に関する清算がなされていなくても、支払として有効と判断された事例(泉レストラン事件、東京地裁平成29年9月26日判決)

本件は、要旨、月給35万円(基本給12万円、業務手当21万円、資格手当2万円)のうち10万0500円が固定残業代の趣旨で支払われたと会社側が主張した事案について、その有効性が争点となった事案です。詳細は割愛しますが、この事案で労働者側は、①固定残業代10万0500円と賃金費目(基本給、業務手当、資格手当)との対応関係が不明であり、これに対応する時間外労働等の時間も不明であること②会社が正確な労働時間を把握しておらず、一度も固定残業代を超過した割増賃金を支払っていなかったこと、等を理由に、本件の固定残業代制度は無効であると主張していました。

この点、裁判所は、①について「時間外手当10万0500円は、割増賃金に充てられる金額が特定されたいわゆる定額手当制の固定残業代であるところ、定額手当制の固定残業代については、いわゆる定額給制の固定残業代とは異なって、計算可能性及び明確区分性を確保するうえで時間外労働等の時間数を特定する必要はなく、労基法37条が、定額手当制の固定残業代の対象となる時間外労働等の時間数を特定することを要請しているとは解されない(東京高裁平成28年1月27日判決・労経速2296号3頁)」として、この点が固定残業代の有効性を否定する理由にはならないと判断しました。

また、②についても「もとより、固定残業代制度を導入した場合であっても、労基法37条所定の計算による割増賃金の額が、固定残業代の額を超過した場合には、使用者は、労働者に対し、その超過額を支払う義務を負うものである。そして、固定残業代制度を導入しているか否かに関わらず、タイムカードを用いるなどして時間外労働等の時間数を正確に把握し、賃金の支給時にその時間数を明示するような労務管理を行うことは望ましいとはいえるものの、そのような労務管理を行うこと自体が、固定残業代を有効たらしめるための要件を構成するとはいえないし、そのような労務管理を欠いており、未払割増賃金が存在し、その未払金の清算がなされていない実態があるというだけで、労働契約上、割増賃金の支払に宛てる趣旨が明確な固定手当について、割増賃金(固定残業代)の支払としての有効性を否定することは困難である」として、この点も、固定残業代の有効性を否定する理由にはならないと判断しました。

結論として、本件の固定残業代の支払は有効であると判断しました。

※一言コメント

本件は、固定残業代の趣旨で支払われていることが客観的に明確な事案についての判断です。上記①②とも、そもそも、ある手当が固定残業代の趣旨で支払われたか否かについて、これを否定する方向の間接事実にはなると思われますので、本判決の射程は限定的に解すべきと思われます。

固定残業代の有効性が否定され、割増賃金の支払が認められた事例(マンボー事件、東京地裁平成29年10月11日判決)

本件は、給与明細上は、賃金の15分の8を「基本給1」、残りの15分の7を「超過勤務手当」として支給していた事案において、後者の「超過勤務手当」が固定残業代として支払われるという合意があったか否か(会社側は、これが週26時間分の残業代支払にあたると主張していました。)等が争点となりました。

この点、裁判所は「原告の採用面接時の担当者であるCの証言等(書証略)を前提としても、Cは、同面接時、原告に対し、勤務条件について、休憩1時間を含めた1日12時間シフトの週6日勤務で、賃金総額が30万円であり、賃金総額の増額決定がない限り同額を超えて支給されることは一切ない旨を説明したにとどまり、賃金総額30万円のうちどの部分が固定残業代に当たるのかについて説明をしていなかったものである。しかるに、同説明のみでは、賃金総額について、通常の労働時間の賃金に当たる部分と労働基準法37条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができず、原告が同説明を受けたうえで本件労働契約を締結したとしても、被告との間で有効な固定残業代に関する合意をしたということできない。

 そして、基本給の額がいくらであるかは、割増賃金の算定に大きな影響を生じさせるなど、労働者にとって極めて重要な事項であるところ、その後、上記のとおり、被告において、支給明細書上、一方的に定めた割合により賃金総額を「基本給1」と「超過勤務手当」に分けて支給するにとどまり、本件各証拠によっても、原告において、賃金総額の振り分け方法について十分に理解した上で、これについて明確な同意を積極的にしていたと認めることもできないこと(むしろ、被告の人事部長を含む被告の他の従業員も、賃金総額のうちいくらが割増賃金に当たるのかを明確に認識・理解していなかったものである(人証略))。)からすると、原告と被告との間で、賃金総額の15分の7に相当する額を週26時間分の固定残業代として支払う旨の合意があったということは出来ない。なお、(中略)本件誓約書(※原告が署名したもの)には、割増賃金について、当時の就業規則第25条に基づき、毎月定額で支給されることを了承する旨の記載があるが、同条の内容は明らかでなく、そもそも、当時、就業規則が存在し、その内容が周知されていたのかも不明であることからすると、同誓約書により原告と被告との間で本件固定残業代についての合意があったと認めることもできない。」として、被告が主張する合意の存在を否定し、被告の主張を認めませんでした。

なお、こうした合意の有効性については「仮に本件固定残業代について原告の同意があったとしても、本件労働契約においては当初から、労働者の労働時間の制限を定める労働基準法32条及び36条に反し、36協定の締結による労働時間の延長限度時間である月45時間を大きく超える月100時間以上の時間外労働が恒常的に義務付けられ、同合意は、その対価として本件固定残業代を位置付けるものであることからすると、36協定の有効性にかかわらず、公序良俗に反し無効である(民法90条)と解するのが相当である」としています。

年俸制で働く医師について、「年俸に時間外割増賃金が含まれる」との合意が無効とされた事例(医療法人社団Y会事件、最高裁第二小法廷平成29年7月7日判決)

本件は、医療法人たる被上告人において勤務していた上告人医師が、解雇無効及び未払い割増賃金の請求を求めた事案です。この点、未払いの割増賃金(残業代)については、「本件時間外規程に基づき支払われるもの以外の時間外労働等に対する割増賃金について、年俸1700万円に含まれることが合意されていた」(本件合意)の有効性が争点となりました。

控訴審(高裁)は「本件合意は、上告人の医師としての業務の特質に照らして合理性があり、上告人が労務の提供について自らの裁量で律することができたことや上告人の給与額が相当高額であったこと等からも、労働者としての保護に欠けるおそれはなく、上告人の月額給与のうち割増賃金に当たる部分を判別することができないからといって不都合はない。したがって、本件時間外規程に基づき実際に支払われたもの以外の割増賃金(略)は、上告人の月額給与及び当直手当に含めて支払われたものということができる」と判断していました(最高裁判示より引用)。

しかし、最高裁は、控訴審の判断を否定し、「労働基準法37条が時間外労働等について割増賃金を支払うべきことを使用者に義務付けているのは、使用者に割増賃金を支払わせることによって、時間外労働等を抑制し、もって労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに、労働者への補償を行おうとする趣旨によるものであると解される(最高裁昭和44年(行ツ)第26号同47年4月6日第一小法廷判決・民集26巻3号397頁参照)。また、割増賃金の算定方法は、同条並びに政令及び厚生労働省令の関係規定(以下、これらの規定を「労働基準法37条等」という。)に具体的に定められているところ、同条は、労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまるものと解され、労働者に支払われる基本給や諸手当(以下、「基本給等」という。)にあらかじめ含めることにより割増賃金を支払うという方法自体が直ちに同条に反するものではない。

 他方において、使用者が労働者に対して労働基準法37条の定める割増賃金を支払ったとすることができるか否かを判断するためには、割増賃金として支払われた金額が、通常の労働時間の賃金に相当する部分の金額を基礎として、労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かを検討することになるところ、同条の上記趣旨によれば、割増賃金をあらかじめ基本給等に含める方法で支払う場合においては、上記の検討の前提として、労働契約における基本給等の定めにつき、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要であり(最高裁平成3年(オ)第63号同6年6月13日第二小法廷判決・裁判集民事172号673頁、最高裁平成21年(受)第1186号同24年3月8日第一小法廷判決・裁判集民事240号121頁、最高裁平成27年(受)第1998号同29年2月28日第三小法廷判決・裁判所時報1671号5頁参照)、上記割増賃金に当たる部分の金額が労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回るときは、使用者がその差額を労働者に支払う義務を負うというべきである。(中略)上告人と被上告人との間においては、本件時間外規程に基づき支払われるもの以外の時間外労働等に対する割増賃金を年俸1700万円に含める旨の本件合意がされていたものの、このうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分は明らかにされていなかったというのである。そうすると、本件合意によっては、上告人に支払われた賃金のうち時間外労働等に対する割増賃金として支払われた金額を確定することすらできないのであり、上告人に支払われた年俸について、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することはできない。したがって、被上告人の上告人に対する年俸の支払により、上告人の時間外労働及び深夜労働に対する割増賃金が支払われたということはできない」として、本件合意の有効性を否定しました。

※一言コメント

本判決の判断枠組み自体は、以前の最高裁で示されたものを踏襲するもので、特段真新しいものではないと思います。本件は、年俸1700万という、労働者としては非常に高額の給与支払いを受けているケースについても、従前の判断枠組みをそのまま適用した点で、実務上参考になるものと思われます。

飲食店チェーンの店長につき、管理監督者性が否定された事例(P社事件、大分地裁平成29年3月30日判決)

本件は、弁当チェーン、外食チェーンを運営する会社で店長を務めていた労働者が、退職後に未払い残業代等の支払いを求めた事案です。会社側は、労働者は店長だった以上、労基法41条2号の「管理監督者」に該当するため、時間外割増賃金の支払い義務はないとして、労働者側の請求を争ったため、「管理監督者」該当性が争点となりました。

この点、裁判所は、管理監督者にあたるかどうかの判断基準として「労基法41条2号の管理監督者に該当するか否かについては、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者であって、労働時間、休憩及び休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にあるかを、職務内容、責任と権限、勤務態様及び賃金等の待遇などの実態を踏まえ、総合的に判断すべきである」としました。

そのうえで、本件について以下の通り判断しました。

まず、「職務内容、責任と権限」については「原告は、店長として、クルーを採用する権限はあるものの、クルーの採用に当たっての時給の決定やその後の昇級の権限、正社員の採用権限もなく、雇止めや解雇の権限についても、OFC(※高井注:被告において、店舗の業務を統括し人事管理等の監督指導を行う役職)と相談の上行うべきこととされており、店舗内の人事に関する事項に係る権限は限定的である」としました。また、「店舗の運営に関する事項についても、原告は、ワークスケジュール表を作成し、また、クルーの出退勤管理を行うなど店舗内において労務管理を一定程度になっていたといえるものの、ワークスケジュール表の作成に当たっては、被告から指示される月間売上目標、売上予算を前提に、月間の売上予算に対して使用可能な労働時間を示す「人・時」の範囲内での配置が求められており、また、店舗の営業時間も自由に決定することができないことなどからすると、店舗運営に関する裁量の幅は決して広いものではなく、その権限は実質的に制限されている」として、「原告は、店長として、クルーの採用等の人事やワークスケジュール表の作成など店舗運営に関する一定の権限を有しているとはいえるものの、その職務内容、責任と権限に照らしてみると、主体的な関与は乏しく、被告の経営に関わる重要な事項に関与しているとはいい難い」としました。

また、「勤務態様」についても、「原告は、早退や遅刻に関する規定を適用されず、また、ワークスケジュール表の作成権限を有していたものの、実態としては、調理・販売業務を行うクルーが、他店に応援を要請するなどしても不足する場合は、店長自身がクルーと同様の調理・販売業務を担当することが求められており、原告の場合には、ほぼ連日にわたり、シフトインをする必要があった」として、「原告は、規定上は勤務時間につき自由裁量が認められていたものの、実態とすれば、クルーが不足する場合にその業務に自ら従事しなければならないことにより長時間労働を余儀なくされており、実際には労働時間に関する裁量は限定的なものであり、また、クルーと同様の調理・販売業務に従事する時間が労働時間の相当部分を占めているなど、勤務態様も、労働時間等に関する規制になじまないようなものであったとはいい難い」としました。

「賃金等の待遇」については、原告が被告にお行ける店舗管理手当を支給されており、この店舗管理手当が被告における副本部長等の職位の者が支給を受ける役職手当に匹敵することは認めながらも「被告において給与水準を決定するものは、年齢給、勤続給、職能給、資格給等の各人の年齢、勤続年数、職務経験及び勤務成績等によって異なるものもその要素となっているのであり、店舗管理手当のみに着目して管理監督者にふさわしい待遇か否かを判断することは相当でない」としたうえ「本件請求期間に係る平成25年度の原告の年収は474万4141円であり、同年度の被告の社員の平均年収は528万4000円であり(争いがない事実)、管理監督者ではない社員を含めた全体の平均年収を下回っていること、また、上記のように、本件請求期間の約2年間において、月300時間を超過する実労働時間となっている月が13回に及んでいるような勤務実態があったことをも考慮すれば、厳格な労働制限の規制をしなくとも、その保護に欠けるところがないといえるほどの優遇措置が講じられていたものと認めることは困難である」としました。

そして、以上を総合考慮して「原告は、その職務内容、責任と権限、勤務態様及び賃金等の待遇などの実態からすれば、労働時間、休憩及び休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有するとも、現実の勤務態様が労働時間等の規制になじまないような立場にあるともいえないから、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者、すなわち管理監督者に該当するとは認められない」と結論付け、被告会社の主張を排斥しました。

※一言コメント

「管理監督者」にあたるという会社の主張は、残業代請求に係る実務ではしばしば見るところです。しかし、過去の裁判例の傾向からは、通常の社員については、たとえ「店長」などの名目で扱われていたとしても、労基法上の「管理監督者」にあたるケースは例外的といえます。本判決も従前の裁判例と軌を一にするものであり、内容的にも妥当と考えます。

原告が請求した未払い残業代について、少なくとも原告主張の5割が相当と判断された事例(福星堂事件、神戸地裁姫路支部平成28年9月29日判決)

本件は、菓子の製造販売を営む被告会社で、お菓子の運送業務に従事していた原告労働者が、会社を退職後に未払い残業代を請求した事件です。

原告は、タイムカードの打刻時間を基準に労働時間の主張をしていましたが、被告側は「タイムカードの打刻があるからと言って、その時間が安易に労働時間と推定されるべきではない」として争いました。

この点、従前の裁判例では「タイムカードによる労働時間管理がされている場合、特段の事情がない限り、タイムカードの時間が労働時間と推定される」という考え方を示すものが多数だと思います。

ただ、本件の裁判所は「所定の就業開示(ママ)時刻前のタイムカードの打刻時間を始業時刻として主張する場合(早出残業)には、使用者が明示的には労務の提供を義務付けていない始業時刻前の時間が、使用者から義務付けられ又はこれに余儀なくされ、使用者の指揮命令下にある労働時間に該当することについての具体的な主張立証が必要であると解するのが相当である」との一般論を確認したうえ、

本件については「原告のタイムカードには終業時刻の午前8時30分よりも相当早い時間帯(中略)に打刻されているものが多いが、原告は、業務日誌等を一切提出しておらず、始業時刻よりも相当早い時間帯に出勤しなければならなかった理由については判然としない。原告は、菓子製品の搬送業務が過多であり、1日2回運送することを余儀なくされた日もあったなどと主張するが、いずれも抽象的な主張にとどまり、具体的な主張立証であるとは言えない。本件では、タイムカードがあるからといって、原告がタイムカードに打刻されている早朝の時間帯に出勤を余儀なくされ、被告の指揮命令下に置かれていたとの事実を認めるに足りる証拠はない」として、始業時間前については、タイムカードの打刻はあっても労働時間とは認められないとの判断をしました。

ただ、結論としては、具体的な労働時間を認定せず「原告が被告に早朝出勤を命じられ、日常的に所定の始業時刻前の時間外労働を余儀なくされていたとは認められないこと、原告が昼食も運転中に採ることが常態化しており、所定の1時間休憩を取ったことがなかったとは認められないこと等を考慮すれば、原告が時間外労働をしていたことは否定できないものの、原告の主張する時間外労働の時間は相当に過大であるというべきである。その他本件に現れた諸般の事情を総合考慮すれば、原告の時間外労働割増賃金は、少なくとも原告が主張する411万9749円の5割である205万9874円と認めるのが相当である」としました。

※一言コメント

本件では、直接の判決理由にはなっていませんが「原告が早朝出勤を繰り返していたのは、被告の業務のためではなく、被告から貸与されている携帯電話を使って被告の女性従業員に長時間プライベートな電話をかけるためであったことが窺われる」との判示もされています。つまり、タイムカードの打刻はあった早朝について労働時間でないことを推測させうる事情があったことが、判決に事実上影響している可能性があります。

また、原告に認められる未払い残業代の額が、原告請求額の「5割」になる理論的根拠が不明であるという問題点もあるように思います。

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